【部活動の地域移行】6月から都立学校での実証事業開始 都教委

【部活動の地域移行】6月から都立学校での実証事業開始 都教委
部活動の地域移行の試行について報告された都教委の定例会
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 東京都教育委員会の定例会が5月25日開かれ、今年3月に策定した部活動の地域移行に関する推進計画に基づき、中等教育学校の前期課程を含めた都立中学校全10校の10部活動と、都立高校のパイロット校6校の12部活動において、休日の部活動の地域連携・地域移行の試行を6月から開始することが報告された。委員からは「これを機に、子どもたちが自分たちで部活動をマネジメントしていけるような、子ども主体の部活動になっていってほしい」といった意見が出された。

 試行実施の対象は、中等教育学校の前期課程を含めた都立中学校全10校の10部活動と、都立高校における部活動改革パイロット校6校の12部活動。生徒の豊かなスポーツ・文化芸術活動と、教員の働き方改革の両方を実現するために、休日の部活動について外部事業者と学校が連携して行う地域クラブ活動を試行実施し、部活動の地域連携・地域移行の在り方について検証していくとしている。

 都立中学校では、都教委が(公財)東京学校支援機構(TEPRO)へ委託し、TEPROの統括コーディネーターが各校のニーズなどに合わせて、人材バンクへの登録者や連携事業者、地域NPOの指導者をマッチングし、派遣する。一方、都立高校では、都教委が民間事業者に委託し、そこから指導者が各校へ派遣される。いずれの場合も学校の施設を活用して行われる。

 今回、中学校と高校で異なる実施方法を取った理由について、都教委の担当者は「部活動の地域連携・地域移行にはさまざまな方法がある。今後、市区町村の公立中学校が部活動の地域移行に取り組む際に、どのような方法がやりやすいかなど、参考にしてほしいと考えた」と説明した。

 また、今回の実証事業で予定している指導者は、民間事業者や地域スポーツ団体などからの派遣者や、個人指導者、教員や部活動指導員としている。教員の場合は、業務とは切り離す形で、兼業・兼職の申請届け出を行って指導することとなる。

 都教委の担当者は「部活動の地域連携・地域移行については、保護者や地域の関係者への周知が肝だと考えている。具体的な内容を説明したリーフレットを作成しており、今月中をめどに配布していく」と述べた。

 現在は各学校で保護者への説明会を開催するなど、実施に向けた準備が行われており、6月中には全ての実施校において指導が開始される予定。都教委では、すでに設置されている部活動検討委員会において実証事業について検証するとともに、次年度以降の取り組みに生かすとしている。また、その内容については市区町村の教委などに情報提供を行い、都における部活動の地域連携・地域移行を推進していく。

 この日の定例会では委員から「子どもたちの負担は増えないか」との質問があり、それに対し都教委の担当者は「部活動の地域連携・地域移行が進むことで、子どもたちの選択肢が増えるのは間違いない。子どもたちや保護者のさまざまなニーズに対応できる形を、柔軟に考えていきたい」と答えた。

 別の委員は「部活動の地域移行について、保護者の不安の一つは受益者負担だ。実証事業を行う中で、子どもたちも部活動は地域移行の方がいいとなった時に、どれくらい指導者への支給が必要なのかなど、早期に検討してほしい」と述べ、さらに「これを機に、指導者から『これをやりなさい』と言われて活動するのではなく、子どもたちが自分たちで部活動をマネジメントしていけるような、子ども主体の部活動になっていってほしい。指導者の方たちにも、そうした意識を持っていただきたい」と要望した。

 部活動地域連携・地域移行に関する費用負担について、浜佳葉子教育長は「今まで部活動に関する費用は誰も負担しておらず、教員のボランティアに頼っていた。今後、部活動が地域連携・地域移行していくことを機に、誰がどう負担するのかということは整理していかなければならない。行政の予算がないから保護者にお願いするという考え方では、当然理解を得られないと思うし、それは違うと思っている。関係各所とコミュニケーションを取りながら、ご理解いただける形で答えを出していきたい」と述べた。

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