障害児や障害児を支える人の声を今後の政策により反映していくため、こども家庭庁は5月29日、障害児支援の関係団体との懇談会を開いた。関係団体からは、来年4月の改正児童福祉法の施行によって、児童発達支援センターの機能が強化されることを踏まえ、障害のあるこどもが地域で共に育つインクルージョンの環境づくりを求める声が上がった。
改正児童福祉法では、これまで福祉型と医療型に分かれていた児童発達支援センターを一元化し、地域における障害児支援で中核的な役割を担うことを明確にした。こども家庭庁で障害児支援施策を推進していくにあたり、関係団体との意見交換を通じて今後の施策に生かしていく目的で開かれたこの懇談会は非公開で行われ、日本知的障害者福祉協会、全国児童発達支援協議会、全国重症心身障害児(者)を守る会の3団体が出席。小倉将信こども政策担当相や渡辺由美子こども家庭庁長官らに対し、各団体の活動内容や障害児支援施策を巡る課題を報告した。
こども家庭庁の担当者によると、各団体からは▽乳幼児期から学童期、思春期までの切れ目のない支援の視点▽医療的ケアや聴覚障害などのスペシャルニーズを持つこどもへの支援体制の整備▽障害児だけを切り離して支援するのではなく、通常の保育所や地域で障害児を支援し、一緒に育っていける環境づくり▽障害児支援の事業者が保育所や学校に入り、支援対象のこどもが集団に適応していける方法を保育士や教員に助言する「保育所等訪問支援」のさらなる活用――などを求める意見が出た。
また、質疑応答の中では、特別支援教育は教育委員会、障害児福祉は福祉部局と、自治体でも担当部署が分かれてしまい、考え方が違うことから調整が難しいといった指摘もあったという。