「次元の異なる少子化対策」として、政府が力を入れる子ども関連予算について、女性の中では「最優先の課題として取り組み、予算を増やすべき」と予算の増額を求める意見よりも、「金額ではなく、具体的な少子化対策を打ち出すのが先決だ」と具体策の明示を求める意見の方が多いことが、日本財団がまとめた「1万人女性意識調査」で明らかになった。子ども関連予算の増加やこども家庭庁の設置など、政府の対策が少子化の解消に「効果があると思う」と答えたのは4割にとどまった。
調査は3月20~22日に、全国の18~69歳の女性1万人を、地域や年代別人口比などを考慮して抽出。少子化を背景とした女性の子育て意識を聞いた。5月23日に公表された。
政府が子ども関連予算を増やすことについて尋ねたところ、▽最優先の課題として取り組み、予算を増やすべき 20.9%▽財源が悪化している現状では予算増額は現実的ではない 15.2%▽金額ではなく、具体的な少子化対策を打ち出すのが先決だ 36.3%▽わからない 27.6%――で、予算の増額よりも少子化対策の具体策を求める意見の方が割合として大きかった。
少子化解消のために国や自治体、企業に求める対策を上位2つまで挙げてもらったところ、最も高かったのは「賃金の上昇」で33.4%だった。次いで「教育費の無料化・支援の拡大」(30.0%)、「出産・子育てに対する公的支援の強化」(28.2%)、「雇用・勤務形態の改善」(23.7%)などが続いた。
子ども関連予算の財源について聞いたところ、「消費税率の引き上げ」「医療費の本人負担増」「所得税率の引き上げ」は「反対」「どちらかというと反対」の合計が7割前後に上った。一方で、「途上国などに対する支援の減額」や「法人税率の引き上げ」「防衛費の減額」は「賛成」「どちらかというと賛成」の合計が4割以上となり、「反対」「どちらかというと反対」の合計を上回った。
こうした子ども関連予算の増加やこども家庭庁の設置などが、少子化の解消にどれくらい効果があるかを聞くと、「一定の効果があると思う」(6.0%)と「少しは効果があると思う」(33.6%)を合わせると、4割は効果をある程度期待しているとみられる一方、「まったく効果はないと思う」(21.0%)と否定的な見方が2割で、「予測がつかない」(39.4%)も4割を占めた。
こども家庭庁に期待することを上位2つまで聞いたところ、最も高かったのは「特に期待することはない・わからない」が23.3%、次いで「子どもの貧困の改善」(20.3%)や「少子化の改善」(18.4%)、「児童虐待対策」(16.9%)、「ヤングケアラー支援」(16.6%)、「いじめ防止」(15.0%)などが挙がった。年代別にみると、「子どもの貧困の改善」や「児童虐待対策」「ヤングケアラー支援」は高年齢層で、「ひとり親支援」は若年齢層で、それぞれ高い傾向にあった。