1人1台環境での子どもたちの情報セキュリティーに関する意識を高めようと、静岡大学と鹿児島大学はこのほど、情報セキュリティーのソフトウエアなどを提供するカスペルスキーと共同で、小学校高学年から中学生向けの情報セキュリティー啓発教材「ネットの『あやしい』を見きわめよう(GIGAスクール版)」を開発したと発表した。リスクが「ある」「ない」の2択ではなく、リスクの程度を考えるのが特徴で、ウェブ版も用意し、学習者用端末から操作できるようになっている。
静岡大学と同社は2017年にも情報セキュリティー教材を共同開発していたが、GIGAスクール構想による1人1台環境の実現や昨今の情報セキュリティーを巡る課題などを踏まえ、内容を全面的に刷新。1人1台環境の教室で起こり得る、友達のIDを使った成り済ましや安易なパスワード設定、持ち帰りの際のWi-Fi設定、調べ学習の場面での情報の真偽などを取り上げた。
教材では、子どもたちが直面する可能性のある場面を想定した端末画面のイメージとセリフを見た後に、その場面のリスクを3段階で評価し、議論することで、リスクを「ある」「ない」の2択で考えるのではなく、どれくらいのリスクがあるのかを考えることができる構成になっている。
学習者用端末で使用することを想定したウェブ版のほか、各場面を印刷して使えるPDFデータも用意。教材は1時間の授業を想定し、指導者用のガイドブックや説明スライド、ワークシートも付く。
開発に携わった静岡大学教育学部の塩田真吾准教授は「1人1台端末の活用では、さまざまな情報セキュリティーに関するトラブルも起きている。知識としてトラブル事例を伝えるのではなく、『そこにどのくらいのリスクがあるのか』を考えさせることを通じて、リスクを見積もる力を育ててもらいたい。ぜひ、保護者参観などの機会に『親子で一緒に考えてみる』という活用も検討してほしい」と話す。
教材は無料で、同社のHPから確認できる。