N・S高の生徒が描く未来の学園ドラマ 細田守監督が講師

N・S高の生徒が描く未来の学園ドラマ 細田守監督が講師
プロジェクトに参加する生徒と細田監督のトークセッション
【協賛企画】
広 告

 未来の学校生活を高校生がVR上で表現する――。広域通信制のN高校とS高校を運営する角川ドワンゴ学園は6月1日、フェイスブックを手掛けるMeta社(日本法人Facebook Japan)の協力の下、N高校、S高校の生徒がメタバース空間での学校生活を描いたドラマを制作するプロジェクトを始めると発表した。プロジェクトには『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』など、バーチャル空間でのコミュニケーションを題材にしたアニメーション作品で知られる細田守監督らが特別講師を務める。

 2021年4月からVR空間によるバーチャル学習を本格導入した同学園では、現在、普通科の生徒のうち7000人以上が、VRヘッドセットを用いたVR空間での学習を選択している。Meta社は昨年9月に、ARやVRに関する教育プログラムを通じて、次世代のXRクリエーターを育成する「Immersive Learning Academy」を同学園とスタート。今回のプロジェクトはその一環で、20人の生徒が4つの架空の制作会社を立ち上げ、メタバース空間での学校生活をテーマにした5分間の動画をVR空間上でつくる。

 特別講師として細田監督のほか、バーチャル建築家の番匠カンナさんや作家・演出家・俳優の山田由梨さんが関わり、動画づくりをサポートしながら、9月の完成を目指す。

 Facebook Japan公共政策本部の泉谷晃公共政策本部長は「このプロジェクトを通じて最新の3DやCGの技術を学んでいただくのと同時に、VRなどの新しいテクノロジーが教育の分野でどのような可能性を秘めているのかを模索する。そうしたものを表現していただこうと考えている」と狙いを説明。

 角川ドワンゴ学園の園利一郎経験学習部部長は「VRなどの没入型のテクノロジーには、われわれも教育的な可能性を非常に感じている。こういった可能性をMata社と一緒に具体化していって、こういう活用事例があるということや、こうやったらもっと教育全体が良くなるのではないかという発信をしていきたい」と、教育の可能性を広げるきっかけになればと期待を寄せる。

 6月1日に都内で開かれたキックオフイベントでは、オンラインで細田監督が登場し、プロジェクトに参加する生徒代表で、S高校2年生の松尾和弥さんとトークセッションを行った。

 将来はVR空間上にテーマパークをつくるのが夢だと語る松尾さんが「プロジェクトは実際にメタバース上の空間にドラマをつくるという、今までまったく体験したことがないようなことなので、少し不安はあるが、仲間たちと一緒に新しいものをつくりあげていけることにワクワクしている」と意気込みを語ると、細田監督は「VRで授業を受けたりコミュニケーションしたりしているリアルな体験があって、それをモチーフにドラマをつくると、どういうふうになるのか。松尾さんたちが、VRの中にどのようなリアルを考えているのかが興味深い」と語った。

 さらに、特別講師らと制作会社の代表生徒が、作品のアイデアについて検討するワークショップも開かれ、各制作会社からは、バーチャル空間上のバグを生かした設定や、多様性をコンセプトに、自己表現や成長を描く物語などが提案された。

広 告
広 告