学校向けの外部人材活用サービス「複業先生」を展開するLX DESIGNと熊本市教育委員会は6月5日、都内で記者会見を開き、外部人材の活用による学校への支援や働き方改革などで、連携協定を結んだ。同市にとって喫緊の課題である外国人児童生徒やその保護者と教員とのコミュニケーションをオンラインを活用して支援することや、非常勤講師、教育活動をサポートする人材とのマッチングなどを想定。自治体との連携協定は同社にとって初めてとなる。
台湾の半導体メーカーであるTSMCの工場が建設されることから、外国人児童生徒とその保護者が市立学校に通うことが想定される熊本市では、さまざまな言語や文化に対応し、学校現場とのコミュニケーションを仲介してくれる人材の確保が課題となっていた。そこで、連携協定では、同社が持つ外部人材のネットワークを活用し、オンラインで通訳を行う支援を筆頭に掲げた。
この意図について熊本市教委の遠藤洋路教育長は「日本の学校のルールを前提に話しても相手に伝わらないことは多々ある。そこは相手の国の文化や前提を共有している人に間を取り持ってもらう必要がある。単純な言語の通訳という意味ではなく、学校と保護者のコミュニケーションの仲介をしてもらうという意味だ。その点では、機械による翻訳ではなく人間の力が必要だと思っている」と、主に保護者対応の場面で、相手の言語や文化を理解して説明することの重要性を強調した。
加えて、連携協定では外部人材の活用による探究学習やキャリア教育などの支援、臨時的任用教職員・非常勤講師、教育活動をサポートする人材のマッチング、教職員の業務分析、管理職・教員研修、コンテンツ・ソフトウェアサービスの開発・運用検証など、内容は多岐にわたる。
教員経験もあるLX DESIGNの金谷智代表取締役社長は「外部人材が関わっていくことで、教員が自分自身だけでできないことをどう捉えて、どう理解するかという整理をすることになる。この授業でこういう人が足りない、この言語を話せる人が必要といった具体的な話を聞きながら、学校としてどういった教員がどういるべきなのかや、外部人材がどう関わっていくべきなのかといったことを理解していくことが、私たちにとっての中期的な課題だと捉えている」と、最終的な目的として、外部人材という切り口から学校現場の複雑な課題の解決を目指す考えを説明した。