私たちのために教員不足解消を 署名始めた高校生が会見

私たちのために教員不足解消を 署名始めた高校生が会見
教員の労働環境改善を訴える高校生ら
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 教員の労働環境を改善してほしいと、ユースの声を基に政策提言などを行っている日本若者協議会教育政策委員会の高校生らが6月8日、東京都庁で記者会見を開き、教員不足の解消のための予算確保などを要望した。高校生らは「子どもと先生と日本の未来のために早急に教員の労働環境を改善してほしい」と、子どもたち自身が肌で感じている公教育への危機感を訴えた。

 過酷な労働環境を背景に、教員のなり手不足が深刻化し、子どもたちの学習環境にも悪影響が出ているとして、日本若者協議会教育政策委員会は4月30日から、公教育を守るために教員予算を増やし、教員の労働環境改善を求める署名活動を電子署名サイトの「Change.org」で始めた。6月8日時点で2万9000筆を超える賛同が寄せられている。

 署名では▽教員の数を増やして、チーム担任制、少人数学級、小学校における教科担任制などの導入を進め、教員が仕事を分担し、休みやすい環境をつくること▽部活動や防災対策、事務作業など、教員としての専門性が問われない仕事を外部に移行し、教員が子どもたちに向き合える時間を増やすこと▽教員の質を担保するため、大学の奨学金の返済に向けた経済的支援や教員になっても学び続けられる環境を整備すること▽教員の正規雇用を進めること――などを提言。このままでは公教育が崩壊し、家庭環境の格差が、努力をしてもどうしようもできない状態にまでなると警鐘を鳴らしている。

 これらの要望は署名と合わせ、今後、小池百合子東京都知事や都教委などに提出する予定。署名・要望の提出先を文科省などの国ではなく、東京都にした理由について、日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は「教員不足が非常に深刻化している中で、日本若者協議会では国政に対して、抜本的な給特法の見直しが必要ではないかという要望書を届けている。しかし、学校現場では教員不足の負の影響が出始めていて、国の動きも重要ではあるが、自治体単位でもやれるところからやってもらいたいと、今回、高校生が主体となって署名を立ち上げた」と説明。

 「教員が大変だという話はいろいろな形で報道されていると思うが、生徒側の目線での報道は非常に少ない。東京都は私立高校の教育の無償化が進んでいるが、一方で公立学校の質が置き去りになっているのではないか」と指摘した。

 中学校の社会科の教員を志望している都立高校2年生の秀島知永子さんは「高校で家庭科の先生の産休代替が見つからず、1人の先生が同時に2クラスを行き来しながらの授業を受けたとき、公教育の崩壊を実感した。中学3年生のときの先生は運動部と生徒指導の担当をしていて、とても忙しそうだった。進路や友人関係の相談をしたいと思っても先生が忙しそうで申し訳なく、できないことが多かった。小学校では心を壊してしまった先生もいた。子どもと先生と日本の未来のために早急に教員の労働環境を改善してほしい」と、自身の経験を踏まえ、思いを語った。

 また、姉が今年度から公立高校で教員として働いているという、都内の私立高校3年生の芹澤零音さんは「やっぱり部活動の負担の大きさなどを見ていると、今、早急にやるべきこと、できることは、教員の給与を上げることだ。給与が上がって教員を目指す人が増え、採用も増えて、各学校への配置も増えれば、1人が抱えているものが減ってくる。そうすれば、教員1人当たりの負担が軽くなり、(労働環境が)良くなってくると思う」と、待遇改善の必要性を強調した。

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