さまざまな人が共生する社会の在り方を考えるきっかけになればと、東京都理学療法士協会は6月9日、エスカレーターの乗り方を例に心のバリアフリーを学ぶ、小学生向けの漫画教材を制作した。漫画教材と合わせて、教師用指導資料や動画補助教材も無料で公開されており、「道徳」の授業などでの活用を呼び掛けている。
漫画教材では、小学生の主人公が、急ぐ人のために右側を空けるエスカレーターの習慣があるエスカレーターの乗り方を観察する中で、左手に障害があるために、右側に止まって乗っている人もいることを発見。安全のためにエスカレーターは止まって乗るべきかという問題だけでなく、どうしたらさまざまな人が気持ちよく納得できる着地点を見いだせるかを考えることができる。
同協会では2015年からエスカレーターの利用場面を切り口に、障害への理解やインクルーシブな社会づくりに向けた取り組みを進めており、漫画の題材も、この取り組みを始めるきっかけとなった「エスカレーターの右側に止まって乗りたい」という実際の声が基になっているという。
漫画教材「わけがあってこちら側に止まっています~心のバリアフリー~」は同協会のウェブサイトで無料公開されており、この教材を使用した人権教育の授業の教師用指導資料や、当事者の声を紹介するインタビュー動画などもダウンロードできる。