多様なこどもへの対応 居場所づくりの各団体と意見交換

多様なこどもへの対応 居場所づくりの各団体と意見交換
こどもの居場所づくりに関わる団体からヒアリングを行った第3回会合(YouTubeで取材)
【協賛企画】
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「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定に向けた議論を進めているこども家庭審議会の「こどもの居場所部会」は6月13日、第3回会合をオンラインで開き、こどもの居場所づくりに関わる多様な団体からヒアリングを行った。各団体からは、それぞれの居場所づくりで大切にしていることや、現状の課題について報告があり、委員からは多様なこどもへの対応に関する質問などが出た。

 同部会では「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の論点を8月をめどに示す予定で、それに向けて関係団体からのヒアリングなどを行っている。今後、当事者であるこどもへのウェブアンケートや同部会でのヒアリングも実施する予定。この日の会合ではこどもの居場所づくりに取り組む▽ユースワーカー協議会▽全国児童館連絡協議会▽TOKYO PLAY▽全国学童保育連絡協議会▽山口県こども食堂支援センター――の5つの団体が、これまでの活動やこどもの居場所づくりを巡るそれぞれの課題を報告。それを踏まえて委員とディスカッションした。

 全国児童館連絡協議会は、同協議会が行った実態調査などを踏まえ、児童館が障害のあるこどもやヤングケアラーなども含め、多様なこどもが安心して利用できる場となっており、こどもの意見表明や社会参画を促す取り組みが広がっている事例を紹介。発表を行った渡部博昭事務局長は「児童館の設置は市区単位、町村単位で大きな差がある。自治体の規模による格差を減らすためにも、自治体の行政方針や事業計画にこどもの居場所づくりを位置付け、具体的な数値目標と共に示されることが重要ではないか」と、児童館の設置に関する地域間格差の課題を挙げた。

 続く意見交換では、児童館における不登校のこどもの受け入れについて、宇地原栄斗委員(Learning for All子ども支援事業部エリアマネージャー)が「過去に関わっていた不登校のこどもで、日中の居場所がほしいということだったので一緒に考えていたが、学校に行っていないのに児童館に行くのはすごくハードルが高い。学校に行っていないくせに児童館に来ていると言われてしまいそうだと本人が思ってしまい、足が遠のくということがあった。そうしたこどもたちの目線から見たときのハードルの高さは、どういったところにあり、それに対する取り組み事例があれば教えてほしい」と質問。

 これに対し渡部事務局長は「児童館でそうたくさん事例があるわけではないが、学校との連携はステークホルダーとして非常に多くなっている。その中で児童館と学校の話し合いによって、児童館に来ている間は出席にすることにした自治体もある。学校そのものに行かずに、児童館に行くことを選ぶ子もいる。ただそれを積極的に児童館も受け入れつつ、どうやって社会につなげていくかは考えないといけない。こども一人一人によって、対応は随分変わってくると思っている。仕組みとしてそれを持っているところはあまりなく、こどもが遊ぶ様子や保護者の相談などで児童館に来てみたらとなって、初めて学校とつながったり、教育委員会とつながったりするような対応になると思う」と、学校との連携や個々のこどもに応じた柔軟な対応が重要だとの見方を示した。

 屋外で自由にこどもたちが遊び場をつくる「プレーパーク(冒険遊び場)」の活動を支援しているTOKYO PLAYの神林俊一コーディネーターは、プレーパークで大切にされている理念や視点について説明。「どんどんこどもの遊びが同学年化しているが、プレーパークは異学年で関わり合うことが普通で、こどもから大人まであらゆる世代の人が一つの場所で関わり合っている。大人の用意したプログラムが全くなく、こどもがそこでどう過ごすかはこどもが決める。そういうことを十分に確保できているのはプレーパークとして大きい」と強調し、こどもたちの遊びを支援するプレーリーダーの養成やまちづくりにおけるこどもの遊びの環境づくりの視点などを指摘した。

 プレーパークで過ごす中でこどもの声を聞くことについて、山本昌子委員(ACHAプロジェクト代表)は「こどもの声をすごく大切にしてつくりあげているという印象ですてきだと思ったが、こどもの声を引き出す際に、声をうまく出せない子もいると思うが、そういう子に対する配慮はどうしているのか」と尋ねた。

 神林コーディネーターは「プレーリーダーの立場では、こどもの声を待つことを意識している。大人はどうしてもこどもに何かあると聞きたくなってしまうが、それによるリスクもある。こどもが話したくなるような環境設定、例えば一見暇そうにしていて、いつでも声を掛けやすそうにすることなど、いつ話し掛けてもいい存在になることが仕事として大切だ」と強調した。

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