こども・若者の性犯罪被害が社会問題となっていることを受けて、政府の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」と「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」は6月13日、こども家庭庁で合同会合を開いた。合同会議では今後、有識者などへのヒアリングなどを実施し、7月中旬をめどに被害者への相談支援の充実などの対策強化策をまとめる。
同日に政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」と「男女共同参画推進本部」の合同会合で決定した女性版骨太の方針である「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」では、3月30日に開かれた「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」で決定された「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」に基づき、性犯罪・性暴力の根絶に向けた取り組みや被害者支援を強化していくことを打ち出している。
特に、こどもへの性犯罪・性暴力については政府の「子供の性被害防止プラン2022」を踏まえ、こどもの性被害防止に向けた取り組みを総合的に推進。こども家庭庁をはじめとする関係府省が連携し、身近な人からの被害が潜在化・深刻化しやすいこどもをはじめ、年齢や性別を問わず、多様な被害者がためらうことなく被害を訴え、相談し、支援を受けられるよう、啓発の強化や相談先の周知に力を入れることがうたわれている。
また、現在国会で審議されている刑法改正案では、性交同意年齢の引き上げやわいせつ目的で若年者を懐柔する行為に関する罪の新設などが盛り込まれており、成立したあかつきには、それらの周知などの対応も必要になってくる。
一方で、内閣府男女共同参画局が22年3月に公表した、ウェブアンケートなどによる若年層の性暴力被害の実態に関する報告書によれば、16~24歳の若年層のうち、26.4%が何らかの性暴力被害に遭っており、身体接触や性交を伴う性暴力被害の経験がある若年層では、高校生年代のときに最初の被害に遭ったという人が最多で、中学生年代や小学生年代も多くなっている。また、性交を伴う性暴力被害の加害者(複数回答)のうち、教職員やクラブ活動の指導者を含む学校・大学の関係者は29.3%で、交際相手・元交際相手(27.5%)やSNSなどのインターネット上で知り合った人(19.2%)よりも多い。
この日の合同会合では、内閣府、こども家庭庁、法務省からこれらの報告を受け、対策の強化に取り組むことを確認。こども・若者の性犯罪・性暴力被害に関する有識者や支援者などからヒアリングを行った上で、7月中旬をめどに具体的な強化策を示すとした。
合同会合の冒頭、両会議の議長である小倉将信こども政策担当相は「性別を問わず、またどのような状況に置かれたこども・若者であっても、性犯罪・性暴力の被害は根絶していかなければならない。被害を受けた方々やその保護者がためらうことなく被害を訴え、相談し、心理的なサポートを含む適切な支援を受けられるようにすることも必要だ」と強調。関係府省に対して「これまでの施策のさらに強化すべき点はどこか、これまでの施策で足らざる点はなかったか、これらをしっかりと、かつスピード感を持って検討し、こども・若者の性被害防止のために実効性ある強化策を示していただきたい」と要請した。