入院中の子どもへの付き添い 改善求め当事者団体が要望書

入院中の子どもへの付き添い 改善求め当事者団体が要望書
付き添い中に行った世話やケアの内容(複数回答)
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 入院している子どもとその家族を支援しているNPO法人のキープ・ママ・スマイリングはこのほど、厚労省とこども家庭庁に、子どもが入院した際の家族の付き添い環境の改善を求める要望書を提出した。キープ・ママ・スマイリングが昨年行った当事者への実態調査では、子どもに付き添った多くの保護者が、食事の介助やさまざまなケアを長時間行っており、半数が付き添い中に体調を崩した経験があるなど、負担が大きいと指摘。保護者がこうした「労力提供型の付き添い」をしなくて済むような環境整備を求めている。

付き添い中に行った世話やケアの内容(複数回答)
付き添い中に行った世話やケアの内容(複数回答)

 0~17歳の子どもの入院に付き添ったことのある保護者らを対象に、キープ・ママ・スマイリングは昨年11月25日~12月16日にインターネット調査を実施。3643件の回答を得た。その結果、付き添い中に親が行っていた世話やケアをみると、8~9割は見守りや寝かしつけ、遊び、精神的支援といった保護者に期待される役割に加えて、本来は看護師らが行うべき食事の介助や排せつケア、清潔ケアなどを担っている状況が浮かび上がってきた(=グラフ)。

 さらに、子どもの世話やケアに費やした時間を尋ねると、21~24時間が25.5%を占め、夜間も含めて長時間のケアを行っているケースが多く、51.3%の人が付き添い中に体調を崩した経験があると答えているなど、付き添いをしている保護者の健康にも影響を及ぼしていることが分かった。

 こうした現状を踏まえ、要望書では、保護者が安心して付き添える環境に置かれていないことは、病気の子どもの権利の侵害に直結すると強調。保険医療機関において「看護要員による看護を代替し、または看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない」とされる、国が定める規定が徹底されておらず、「労力提供型の付き添い」が行われている実態があると指摘した。

 その上で、こども家庭庁と厚労省に対して▽医療機関・行政・企業・NPO 団体等が緊密に連携・協力し、多方面から入院時の付き添い環境を改善すること▽小児患者・家族の意見も聞いた上で小児医療関係者と緊密に連携し、医療機関における小児の付き添いの実態把握を行い、「労力提供型の付き添い」が行われる原因を解明すること▽当事者団体や第三者的な立場の専門家が参加する、入院時の付き添い環境の改善に向けた検討会を立ち上げること――などを要望した。

 要望書の提出にあたり、キープ・ママ・スマイリングの光原ゆき理事長は記者団に向けて「付き添っているお母さんは、子どもが病気で入院したら付き添うのが当たり前だと自身も思っていて、なかなかお母さんの過酷な環境は、当事者も声を上げにくかったし、知られないままに何十年もそのままにされてきた。3600人以上の当事者が変えてほしいと声を上げた。これから付き添う人には、自分と同じ思いをしてほしくないという声をたくさんいただけた」と語った。

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