こども大綱の具体的施策は毎年改訂に 部会に枠組み案提示

こども大綱の具体的施策は毎年改訂に 部会に枠組み案提示
こども大綱の枠組みやイメージを議論した基本政策部会の第2回会合(YouTubeで取材)
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 こども大綱の策定に向けて議論しているこども家庭審議会の基本政策部会は6月20日、第2回会合を開き、こども大綱の枠組みやイメージについて検討した。こども大綱の枠組みとして、今後5年ほどのこども施策の基本方針を5つの柱で整理するとともに、具体的な施策の内容は別添扱いとし、毎年改訂を加えながら国の予算に反映させていく考えが示された。また、委員からは16日に閣議決定された教育振興基本計画についての意見もあり、「全部必要だとは思うが、それを学校の先生にさせるのは現実的・具体的に無理な話で、スクールソーシャルワーカー(SSW)を常勤で必須で1人置くことが必須だ」という声も上がった。

 年内の策定を目指しているこども大綱は、従来の「少子化社会対策大綱」「子供・若者育成支援推進大綱」「子供の貧困対策に関する大綱」を一元化し、さらに必要な施策を盛り込んだ新たな大綱と位置付けられており、こどもの意見反映や教育など、基本的施策とされる事項は多岐にわたっている。

 この日示されたこども大綱の枠組みに関しては、大綱を①はじめに②基本的な方針③基本的な施策④こども・若者の意見反映、こども・若者の視点に立ったEBPMの推進⑤施策の推進体制等――の5つの柱で構成するとともに、別添として「施策の具体的内容」と「成果目標、指標」を加えることが提案された。特に別添の「施策の具体的内容」は、③の基本的な施策の具体的内容を示したもので、大綱策定後は、基本政策部会で施策の進捗(しんちょく)状況を定期的にチェックし、それを踏まえ、政府のこども政策推進会議で改訂。関係府省庁の次年度予算案の概算要求に反映させていくことを想定している。

 この日の議論では、青木康太朗委員(國學院大學人間開発学部准教授)が「これまでの大綱も法律も、社会課題を基に今のこどもたちをどうしていったらいいのか、どうあるべきなのかという、大人の視点からこどもたちのあるべき社会像を語ることが多かった。今回の大綱策定にあたっては、こどもたちの声をうまく取り入れていきながら、その声を踏まえて、ということが出てくるが、やはりこどもたちの視点に立って、こどもたちが望む社会の実現に、われわれがどう向き合っていくのかというのを大綱の文言の中に入れていくことが大事だと思っている」など、こどもの視点や権利主体としてのこどもを軸にした大綱にしていくことを求める意見が複数出た。

 また、学校教育に関する意見として、定本ゆきこ委員(京都少年鑑別所医務課長)が、6月16日に閣議決定した教育振興基本計画について言及。定本委員は「学校現場ではいろんな問題で先生方も疲弊して、本当に機能不全と言ってもいいような状況が伝わってくる。教育振興基本計画は本当によくできていると思うし、こどもたちにとって本当に重要な点が多岐にわたってきめ細やかに書いてあると思ったが、文科省はこれらを学校現場の誰にさせようとしているのか」と指摘。

 「(教育振興基本計画の内容は)全部必要だとは思うが、それを学校の先生にさせるのは現実的・具体的に無理な話で、SSWを常勤で1人置くことが必須だ。10年くらい前からチーム学校と言われているが、実態としてはチームになっていない。やはり、チームの統括を先生がしているからではないか。教頭先生か校長先生か主任の先生が一生懸命やっているとしても、教育の視点、教育の領域の知識と経験だけでは、今や対応できない」と、SSWを各学校に常勤で配置し、こどもたちの多様な課題に対応する組織体制を学校に構築する必要性を訴えた。

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