東京都教育委員会は6月22日、第10回定例会を開き、2022年度の性暴力などに関する児童生徒からの相談件数が235件に上ったことを報告した。そのうち、性暴力などが疑われる相談は126件あり、88件が教職員に関する相談、38件が教職員以外に関する相談や意見だった。都教委は児童生徒向けのポスターを各校に設置して、より相談しやすい環境づくりに努めるほか、教職員向けには教職員による性暴力が発生した場合のロールプレー形式の初動対応訓練を行うなどし、性暴力の防止に向けて取り組んでいくとしている。
都教委では、22年4月に「児童・生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口」を設置。電話やメールで直接相談を受け付けているほか、都内全公立学校の全児童生徒に相談シートを配布し、学校を通さずに直接郵送できる形で相談を受け付けてきた。
22年度の相談件数は合計で235件に上り、小学校が129件、中学校が64件、高校が19件、特別支援学校が4件、その他(私立学校など)が19件だった。235件のうち、性暴力等が疑われる相談は126件、「声が大きい」「言い方がきつい」など、指導などに関する相談が117件(複数回答あり)だった。
性暴力等が疑われる相談126件のうち、教職員に関する相談が88件、教職員以外に関する相談や意見が38件だった。都教委の担当者は「教職員以外に関する相談は、警察などの関係機関に情報提供し、対応を依頼している」と報告した。
88件の教職員に関する相談のうち、児童生徒に不適切な行為と確認が取れたものが29件あった。そのうち、懲戒処分が6件、学校や教育委員会などで指導したのが23件だった。都教委の担当者は「励ましのつもりで頭や肩に触れたといったものなど、直ちには性暴力と言えない場合でも、不必要な身体接触をしないよう、学校や教育員会で指導した」としている。また、性暴力などの事実が認められなかった53件についても、学校や教育委員会で誤解を招かないように注意喚起し、調査を継続しているものも6件ある。
都では7月と12月を服務事故防止月間と定めており、7月の服務事故防止月間には児童生徒に向けて、全校朝会などで自分自身の身体や心を守る大切さなどを注意喚起するとともに、新たに作成された児童生徒向けポスターを校内に貼るなどして、児童生徒がより相談しやすい環境づくりに努める。また、相談シートは友達のことも相談できるようにし、チェック項目に「たたかれた」「傷つくことを言われた」なども追加。インターネットでの回答が可能なQRコードを付けて配布する予定としている。
教職員に向けては、児童生徒性暴力等防止の「3ない運動(さわらない、送らない、二人きりにならない)」に、「児童生徒との交際が成立しない」ことを加え、各校で提示して周知徹底する。また、教職員などによる児童生徒性暴力などが発生した場合の、ロールプレー形式の初動対応訓練を各学校で新たに実施する。都教委の担当者は「児童生徒が安心して教職員に相談するために必要な配慮を考えながら、初動対応における役割を確認する」と強調した。
定例会に出席した委員からは、「中高生になると、性暴力などについて学校や親にも相談しづらいという現状があるのではないか。生徒用のポスターをトイレなどの個室に貼るというのは、非常に効果的だと思う」といった意見が出された。