こどもの性被害対策、有識者からヒアリング 政府の合同会合

こどもの性被害対策、有識者からヒアリング 政府の合同会合
冒頭あいさつをする小倉こども政策担当相
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 こども・若者の性犯罪被害が社会問題となっていることを受けて、政府の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」と「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」は6月27日、合同会合を開いた。この日は有識者から地域における現状や取り組み事例、現状の課題などについてヒアリングした。合同会議では今後、引き続き有識者などへのヒアリングなどを実施し、7月中旬をめどに対策強化策をまとめるとしている。

 この日は有識者へのヒアリングの初回で、三重県環境生活部長の竹内康雄氏と、弁護士の寺町東子氏、オンラインで参加した評論家の荻上チキ氏から、現状の課題や取り組み事例が報告された。

 三重県では性暴力被害者のワンストップ支援センターとして「みえ性暴力被害者支援センターよりこ」を開設している。竹内氏の報告によると、相談件数は2015年開設時と比べて、22年度は約2.5倍に増加。特にLINEでの相談が増えているという。今年度は「学校における児童生徒間の性暴力対応支援ハンドブック」を活用した学校内の研修会開催など、学校と「よりこ」などの関係機関が連携して、アウトリーチ型の支援を実施する。

 性暴力被害者の支援などにも取り組んできた寺町弁護士は、こどもの性被害の特徴や、予防に関するこどもへの教育などについて話し、予防のアイデアとして日本版DBSや教職員への啓発などを挙げた。荻上氏はこどもの性暴力対策の課題として、オンラインハラスメントや指導を装ったハラスメント、ストリートハラスメント、男性や性的マイノリティーの被害対応などを挙げ、今後は「子どもの権利白書」の作成と、オンラインやストリートハラスメントの実態調査を行うこと、「児童虐待防止法」などのさらなる検討が必要だと指摘した。

 合同会合の冒頭、両会議の議長である小倉将信こども政策担当相は「性犯罪・性暴力は被害者の心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であって、断じて許すことはできない。性別を問わず、また、どのような状況に置かれたこども・若者であっても、性犯罪・性暴力の被害は根絶していかなければならない」と改めて強調。「実効性のある強化策を立案するためには、有識者や支援者からこれまでの対策に何が足りなかったのかも含め、広く意見を聞くことが重要だ。今日のヒアリングを通じて、こどもや若者の性被害を巡る現状や課題をしっかりと把握し、実効性ある強化策を示せるよう検討していく」と述べた。

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