日本版DBSの制度化に向け論点整理 有識者会議が初会合

日本版DBSの制度化に向け論点整理 有識者会議が初会合
日本版DBSの制度化に向けた有識者会議の初会合
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 教育・保育施設をはじめ、こどもが活動する場所で働く際に、性犯罪歴がないことを証明する「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の制度化に向けて、こども家庭庁は6月27日、「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」の初会合を開いた。会議の開催にあたり小倉将信こども政策担当相は「性犯罪、性暴力はこどもの心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではない」とあいさつし、改めて次の国会での法案提出を目指す考えを示した。

 日本版DBSの制度創設を巡っては、2021年12月にこども家庭庁の設置を閣議決定した「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」で、導入に向けた検討を進めることが盛り込まれ、こどもにわいせつ行為をした教員への教員免許状の再授与条件を厳格化した「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」(わいせつ教員防止法)の附帯決議などでも、同様の制度の導入検討が求められている。

 こども家庭庁では日本版DBSについて、職業選択の自由やプライバシー権などの法的論点の整理や証明のための具体的な手続き、システムなどについて検討チームを立ち上げており、憲法や労働法、民法などの法学の研究者や家庭福祉、児童心理の専門家などで構成されるこの有識者会議で、被害経験者や学校、保育所、児童福祉施設などの関係者、民間教育業界などからヒアリングを実施。日本版DBSの必要性や制度設計上の留意点を議論する。

 具体的な論点としては▽対象の事業者にどのようなことを求めるか▽対象事業・業務範囲をどのように考えるか▽対象とする性犯罪の前科をどう考えるか――などが想定されている。

 初会合では、冒頭で小倉担当相が「今後丁寧に議論を進めていく必要はあるが、可能であれば次の国会での法案提出を目指して検討を進めていきたい」と改めて次の国会での法案提出に意欲を示した上で、「性犯罪、性暴力はこどもの心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではない」と、制度の意義を強調。

 座長には民法が専門の内田貴早稲田大学特命教授・東京大学名誉教授が指名され、こども家庭庁をはじめとする関係省庁が、これまでの日本版DBSの検討経緯やこどもを性犯罪・性暴力から守る対策について説明した。その後、小学生の頃に担任から性暴力を受けた女性に対してヒアリングが行われた。

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