他省庁・分野との連携強化が鍵 障害児支援部会が初会合

他省庁・分野との連携強化が鍵 障害児支援部会が初会合
手話通訳なども入る形で行われた障害児支援部会の初会合(YouTubeで取材)
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 こども家庭審議会の障害児支援部会は6月28日、都内で初会合を開き、改正児童福祉法によって地域における障害児支援の中核的役割を担うことが打ち出された児童発達支援センターの在り方をはじめとする障害児施策について、委員間で意見交換した。委員からは、こども家庭庁の発足に伴い、障害児支援が厚労省から移管されたことを踏まえ、障害児支援の充実や他省庁が所管する関連分野との連携強化、インクルージョンの推進などを求める声が上がった。

 障害児を含む障害福祉施策は、これまで厚労省が所管していたが、4月からは障害や発達に課題のあるこどもへの支援、児童発達支援や放課後等デイサービス、医療的ケア児の支援など、障害児の福祉の増進・保健の向上の分野がこども家庭庁に移された。しかしながら、障害児と障害者で支援の断絶が生じないようにする必要があることから、厚労省の社会保障審議会障害者部会とこども家庭審議会の障害児支援部会では、障害者と障害児の双方にまたがる重要事項を審議する際には両部会を合同開催するなど、連携して対応する方針を取っている。

 初会合では、部会長に有村大士日本社会事業大学社会福祉学部教授を選出。続いて、障害児支援を巡る直近の大きな動きとして、改正児童福祉法を踏まえた取り組みなどがこども家庭庁から報告された。

 児童発達支援センターの位置付けに関して、大胡田誠委員(日本視覚障害者団体連合将来ビジョン推進委員会委員)は「児童発達支援センターの機能の強化について、専門性の確保が課題とされているが、視覚障害も高い専門性が求められる分野だ。現在、主に盲学校の幼稚部、小学部がこういった役割を果たしている。こうした盲学校、特別支援学校との連携を考えてほしい」と、特別支援教育との連携の模索を提案。小林真理子委員(日本発達障害ネットワーク副理事長)は「発達障害のある、子育てのしにくいこどもたちと、児童虐待を受けてきた社会的養護のこどもたちの間に、あまり大きな違いを意識したことがなかった。そこで、障害児支援の部会と社会的養護に関連する部会の間での情報共有や、連動できるような運営の在り方を検討してほしい」と、社会的養護を担当する社会的養育・家庭支援部会との連携を求めた。

 また、初会合では各委員から自己紹介を兼ねた意見表明の場が設けられ、小島幸子委員(全国手をつなぐ育成会連合会副会長)が「こども家庭庁が創設され、障害児支援の担当課や審議会が独立したことは、とても重要なことだと高く評価している。厚労省と密に連携しつつ障害児支援を前に進めてほしい。障害児は、国連の子どもの権利条約と障害者権利条約が両方とも関係する分野だ。ぜひ子どもの権利条約で定める、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つの原則と、障害者権利条約の総括所見で勧告された障害のある児童が幼少期から一般の保育制度を完全に享受する施策の展開をお願いしたい」と述べるなど、障害児が育つ環境のインクルーシブの実現や子どもの権利の保障を重要視する声もあった。

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