国の教育改革について、島根県の丸山達也知事は6月30日に行われた定例記者会見で、教員不足や大学入試改革などの問題に触れながら「今の学習指導要領が中身を盛り込み過ぎだと思う」と述べた。丸山知事は文科省に対して「中教審で検討してOKをもらっているのだろうが、そこで決めたことが下りてきて、学校の先生が対応せざるを得ないのは大変だ。文科省自身が、改めるべきところを改めないと駄目なのではないか」と、学校現場の状況を踏まえない政策の進め方に苦言を呈した。
定例記者会見の場で教員不足の問題に対する見解を尋ねられた丸山知事は、教員がさまざまな仕事を抱え、子どもと向き合う時間が取れていない状況を志望者が見聞きし、理想と現実のギャップを感じているとし、学校の働き方改革と待遇改善の両面に取り組む必要があると強調。「本質的に仕事が楽しく、プライベートとも両立できる状況をつくっていくために、現場を直していくということになるが、現場だけでは直せないことがたくさんある。(教員不足が)全国で共通して発生しているというのは、制度に起因しているのではないかと考えなければいけない。それは政府に(改善を)求めていく」と話した。
その上で丸山知事は、大学入試改革でさまざまな資料から読み解く問題が増えたことなどを例に「私は、今の学習指導要領が中身を盛り込み過ぎだと思う」と主張。「知識偏重をやめたと言うけれど、知識偏重をやめただけで他にやらないといけないことをいっぱい求めて、勉強しなければいけない量は増えている。その揚げ句に早期教育みたいな話になって、小学校高学年くらいから塾に行っていないと難関大学の入試に対応できない、難関大学の入試に対応しなくていいために、早く中学校や高校の段階で大学の附属校に行こうというような、そんな競争の世界になっている」と批判した。
さらに「小学校で英語を教えましょう、高校で情報の授業をやりましょうと、いきなり天から降ってきて、学校現場で対応している。1人1台パソコンにしても、1人1台のパソコンを置くことは決まってはいたけれど、リモート授業をやろうということまで決まっていなかった。コロナになってリモート授業ができるんじゃないかと要求水準が上がって、リモート授業の準備をしたことのない人がリモート授業をやって当たり前だと言われて、学校の先生は準備をしてきた」と、文科省の政策で学校現場が振り回されている状況を指摘。「中教審で検討してOKをもらっているのだろうが、そこで決めたことが下りてきて、学校の先生が対応せざるを得ないのは大変だ。文科省自身が、改めるべきところを改めないと駄目なのではないか」とくぎを刺した。
丸山知事は2月24日に開かれた県議会の答弁でも同様の趣旨の問題意識を述べている。