2013年に起きた千葉県佐倉市教育委員会の指導主事の男性の自死は長時間労働などが原因であったとして、男性の妻が佐倉市に対して慰謝料など約1億3410万円の損害賠償を求めていた裁判の第3回弁論が7月11日、千葉地裁で開かれた。原告側は、佐倉市側の主張に再反論する元同市教委指導課課長の陳述書を提出。支援者らが中心となって、裁判の公正な審理を求めた署名はこの日までに約2000筆が集まった。
男性は1988年に中学校教諭として県教委に採用され、09年に佐倉市教委の指導主事となった。13年には他の指導主事を束ねる立場の筆頭指導主事になったが、同年12月27日に自死していた。原告側は、男性が自死する直前の1カ月間は過労死ラインを超える90時間30分の労働があったとし、長時間労働が自死の原因だと主張。被告の佐倉市はパソコンで自己申告された時間外勤務時間はもとより、出退勤時間を基にしても、過労死ラインを超える時間外労働はなく、自死との因果関係はないとし、請求棄却を求めている。
第3回弁論では、原告側が、男性が在籍していた指導課の事情をよく知る元佐倉市教委指導課長の陳述書を提出。原告側の代理人によると、他の指導主事の管理監督を行うことから、筆頭指導主事は自身の専門とする教科に関する業務は他の指導主事が担うのが一般的であったが、男性の場合は自分の専門である理科も引き続き担当しており、11もの未経験の新しい分野の業務も受け持つなど、適切な負担軽減が行われていなかった状況が、陳述書によって明らかになったという。
また、男性の妻は18年に地方公務員災害補償基金千葉県支部に公務災害を請求している。この同僚職員の聴取内容が記載された公務災害に関する調査書類が同支部から裁判所に提出されていたが、黒塗り部分が大半を占めていることから、黒塗りを取った状態のものの提出について、今後、協議することとなった。
この日は、支援者や男性の教え子らが多数傍聴した。原告側は、裁判の公正な審理を求める2000筆を超える署名も千葉地裁に提出。署名は今後も継続していく予定で、オンライン署名サイトのchange.orgでも受け付けている。
「被告の佐倉市はパソコンで自己申告された出退勤時間を基に、過労死ラインを超える時間外労働はなく、自死との因果関係はないとし、請求棄却を求めている」は正しくは、「被告の佐倉市はパソコンで自己申告された時間外勤務時間はもとより、出退勤時間を基にしても、過労死ラインを超える時間外労働はなく、自死との因果関係はないとし、請求棄却を求めている」でした。
また、「男性は18年に地方公務員災害補償基金千葉県支部に公務災害を請求している。この同僚職員の聴取内容が記載された公務災害に関する調査書類が被告の佐倉市から提出されていたが、黒塗り部分が大半を占めていることから、黒塗りを取った状態のものの提出について、今後、協議することとなった」は正しくは、「男性の妻は18年に地方公務員災害補償基金千葉県支部に公務災害を請求している。この同僚職員の聴取内容が記載された公務災害に関する調査書類が同支部から裁判所に提出されていたが、黒塗り部分が大半を占めていることから、黒塗りを取った状態のものの提出について、今後、協議することとなった」でした。
おわびして訂正いたします。