ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及を受けて、ベネッセホールディングスは7月13日、小学生が安全に使える、学習向けに特化した独自の生成AI「自由研究お助けAI」を開発したと発表した。答えを教えるのではなく子どもの思考力を養うAIキャラクターがナビゲーションしながら、夏休みの自由研究のアイデアやテーマ探しをアシストする。
同社が小学3~6年生とその保護者1032組に実施した意識調査によると、子どもの2割がChatGPTを知っており、そのうち約7割の子どもが実際に使ったことがあると答えている。保護者の回答をみると、子どものChatGPTの利用に肯定的な意見は約6割に上る一方、否定的な意見も約3割を占め、否定的な意見を選んだ理由では「自分で考えなくなりそうだから」が約半数と、子どもの思考力の低下を懸念していた。
そこで同社では、子どもたちが安心・安全な環境の中で早くから生成AIに触れられるようにし、学びに生かしてもらおうと、マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」をベースに「自由研究お助けAI」を開発。「自由研究お助けAI」は、AIキャラクターの「ラボリー」とやりとりしながら、答えを提示するのではなく、さまざまな観点で自由研究のアイデアやテーマにつながるヒントを見つける。利用前に保護者が確認したり、例えば「読書感想文を書いてほしい」などの目的外の利用や公序良俗に反する内容を質問すると、警告を発したりする。また、1日の質問回数は10回まで、AIの回答は200文字程度に制限を設けるなどし、小学生の利用に適した設計が施されている。
入力した内容はAIの学習には利用しないようになっているが、保護者と子どもそれぞれに対して、個人情報を入力しないなどの、生成AIを使う前に使い方やルールなどを学べる解説動画も提供する。
「自由研究お助けAI」の発表にあたって都内で開かれた体験会では、小学5、6年生の子どもとその保護者が、実際にパソコン上で操作しながら質問を入力。ある子が「私の家に犬がいるので、犬について調べたいです」と質問すると、ラボリーは「そうだね! 犬について調べるのはとても面白いことがたくさんあるよ。たとえば、犬の種類について調べたり、犬の性格について調べてみたりすると良いよ。犬のしつけの方法や、犬が健康でいるために何が必要かを調べてみるのもおすすめだよ。また、犬の食事や運動の量についても調べてみると良いかもしれないね。楽しんで調べてみてね!」と回答していた。
参加した小学5年生の男子は「ラボリーがこんなに質問に答えてくれるなんて」と驚いた様子。保護者の一人は「まるで私と子どもとAIの3人で会話をしているみたいだった」と振り返っていた。
「自由研究お助けAI」は学校の夏休みを含む7月25日~9月11日の期間に提供。公式HPから、保護者が電話番号やメールアドレスなどを登録することで、無料で利用できる。