女子中学生が熱中症の疑いで死亡、部活動から帰宅途中 米沢市

女子中学生が熱中症の疑いで死亡、部活動から帰宅途中 米沢市
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 山形県米沢市の国道脇の歩道で7月28日午前11時ごろ、同市立第三中学校1年の女子生徒が倒れているのを通行人が見つけ、病院に救急搬送されたが、同日夜、死亡した。市教育委員会によると、女子生徒は学校で所属する運動部の部活動を終えて自転車で帰宅する途中で、熱中症の疑いがあるという。市教委は30日、小中学校の校長を集めた臨時会議を開き、これまで市教委が定めたガイドラインに沿って各学校が判断するとしてきた部活動の熱中症対策について、「暑さ指数」が33を超える「熱中症警戒アラート」が出ている場合には激しい運動など熱中症が心配な活動を原則として行わないよう指示した。

 市教委によると、同市立第三中学校は7月21日から夏季休業に入り、女子生徒が所属する部活動は25日から4日連続で活動していた。女子生徒が亡くなった28日の部活動の練習時間は当初、午前8時半から午前11時までの2時間半の予定だったが、気温の上昇に配慮した顧問の教諭が、事前に生徒たちと相談して練習を1時間早く切り上げていた。練習ではほぼ20分に1回のペースで休憩を挟み、水分補給も行っていた。顧問の教諭は、通常通り生徒たちへの声掛けを行い、生徒たちの表情にも特に変わったところはなかった、という。こうした経緯から、市教委では、顧問の教諭の対応に問題はなかった、と説明している。また、生徒が倒れていた理由や、熱中症と死亡との因果関係については「診断書を確認できていない」としている。

 市教委は、熱中症の予防や生徒が熱中症になった場合の対応などを示した熱中症対応ガイドラインを策定しており、その中で、エアコンが設置されていない体育館や屋外で活動する際には、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」を専用機器で測定し、その数値に応じて「運動は原則中止」「激しい運動は中止」などと定めている。市教委によると、専用機器は第三中学校を含めて、市内全ての小中学校に備えられているが、亡くなった女子生徒が所属していた部活動の顧問の教諭は「普段は測定しているが、この日は部活動を早めに終わらせることを決めていたので測定しなかった」と説明している、という。熱中症の危険度を示す「暑さ指数」が計測されていなかったことについて、市教委では「熱中症対応ガイドラインの周知徹底が十分ではなかった」と不備を認めている。

 こうした経緯を踏まえ、市教委は30日、市内全ての小中学校の校長を集めた臨時会議を開き、▽熱中症対応ガイドラインの周知を徹底する▽「暑さ指数」が33を超える「熱中症警戒アラート」が出ている場合には、激しい運動など熱中症が心配な活動を原則として行わない▽生徒の健康観察を徹底するとともに、自己管理についての指導を徹底する--の3点を指示した。

 市教委の土屋宏教育長は30日に記者会見し、「命を守ることができず、大変申し訳ない気持ちでいっぱい。部活動を楽しみにし、元気に学校に出掛けた生徒を無事に(自宅に)帰すことができず、言葉もない。改めて命を守る教育の徹底を図っていく」と陳謝した。

 女子生徒が亡くなった7月28日、米沢市の最高気温は35.5度だった。熱中症警戒アラートは環境省と気象庁が午前5時と午後5時の1日2回発表しているが、7月28日の山形県内では、午前5時の段階で熱中症警戒アラートは発表されておらず、同日午後5時に発表されていた。

 熱中症事故の防止について、文科省では4月28日付の通知「学校教育活動等における熱中症事故の防止について」で、熱中症の危険性を判断する基準として「暑さ指数」を活用することや、児童生徒が自ら体調管理を行うように指導することを求めている。児童生徒への指導の留意点としては▽暑い日には帽子を着用すること、薄着になること▽運動するときはこまめに水分を補給し休憩をとること▽運動前に自分の体調を確認すること▽児童生徒同士で互いに水分補給の声掛けなどを行うこと、体調不良を感じた場合にはためらうことなく教職員に申し出ること--を挙げている。

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