教育・保育施設での重大事故 22年に2461件、過去最多に

教育・保育施設での重大事故 22年に2461件、過去最多に
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 2022年の1年間に教育・保育施設などで起きた負傷や疾病などの重大事故は2461件で、過去最多となったことが8月1日、こども家庭庁の集計で分かった。前年と比べると、認定こども園、幼稚園、認可保育所などと、学童保育で合計114件増加した。同日に開かれたこども家庭審議会子ども・子育て支援等分科会の初会合で公表された。

 国では15年以降、特定教育・保育施設、特定地域型保育事業など、子ども・子育て支援新制度に基づく認可の施設・事業について、事故報告を義務付けている。今回公表されたのは、22年1月1日から12月31日までに報告された死亡事故、治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故などで、死亡事故は認定こども園、幼稚園、認可保育所などで5件、学童保育で0件だった。いずれも前年と件数は変わらなかった。

2022年に起きた教育・保育施設などでの負傷・疾病などの重大事故
2022年に起きた教育・保育施設などでの負傷・疾病などの重大事故

 重篤な事故では、認定こども園・幼稚園・認可保育所などで1896件(前年比24件増)、学童保育で565件(同90件増)だった。内訳をみると、最も多かったのは骨折で、認定こども園・幼稚園・認可保育所などでは1445件(同35件減)、学童保育で452件(同44件増)だった。骨折は全体の77.2%を占めていた。

 こども家庭庁からの報告を受けて、子ども・子育て支援等分科会では、松田茂樹委員(中京大学現代社会学部教授)が「死亡事故は非常に痛ましいが、長期間でみると認可施設も非認可施設も減っている。政府や自治体、現場で行ってきた対策が効果を上げてきたのだと思う。このことをしっかりと情報発信することが大事ではないか。それは現場の保育士にとって、自分がやってきたことに対する理解にもなるし、保育所などを利用する方への安心にもつながると思う」と評価。

 一方、渡辺弘司委員(日本医師会常任理事)は「報告数が増えたことは、報告する文化が醸成されたと考えると非常に良いことだが、死亡例に関しては文化とは全く無関係で、実数が出ていると思う。それが減少しないということは、これまでの対策に関して何が問題かという視点で検証しないと、数が減らないことに問題意識を持っていただきたい」と指摘するなど、厳しい意見もあった。

 この教育・保育施設等における事故報告集計は、これまで内閣府子ども子育て本部が所管し、「子ども・子育て会議」で報告されてきたが、4月にこども家庭庁が発足したことを踏まえ、同庁成育局安全対策課に移管。「子ども・子育て会議」を前身とする子ども・子育て支援等分科会で報告された。

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