里親の下で暮らす子どもの課題と支援 教員向け研修会

里親の下で暮らす子どもの課題と支援 教員向け研修会
iStock.com/Anchiy
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 さまざまな事情で実の親と一緒に暮らせない子どもを家庭に迎えて育てる里親制度について、学校の教職員の理解を深めてもらおうと、東京都からの委託を受けて、里親制度の普及に取り組む(一社)東京公認心理師協会、NPO法人キーアセット、社会福祉法人二葉保育園「二葉乳児院」の3団体が主催する教員研修が8月3日、オンラインで開かれた。小、中、高校の教員やスクールソーシャルワーカーら、約40人が参加し、里親の下で暮らす子どもの課題や学校と里親の信頼関係の構築などについて考えた。

 里親制度は、虐待や病気、離別などで実の親と暮らせない子どもを一定期間、里親となる家庭で養育する社会的養護の一つ。里親家庭で育つ子どもの状況はさまざまで、過去の不適切な養育環境などにより愛着形成に課題がみられたり、情緒不安から大人への不信感や問題行動を引き起こしたりすることもある。厚労省が定めた「里親及びファミリーホーム養育指針」では、里親と学校が良好な協力関係を築くことで、保護者と教師という関係だけでなく、同じ支援者の立場として子どもへの有効な支援に結び付けることができると強調。子どもが通う学校には、社会的養護を必要とする子どもの養育であることを伝え、よき理解者となってもらえるよう働き掛ける必要があるとしている。

 教員研修では、こうした里親制度の基本を学んだ後、東京公認心理師協会の原央子さんが、社会的養護の子どもたちの自立に向けた課題や東京都における自立支援相談員の役割などを解説。「子どもたちは中学生や高校生になって児童相談所の担当の職員から自立や進路の話が出てきて、やっと将来を考えるようになる。それまで里親の家庭の生活に慣れていけるかや、日々の生活の課題の方を優先していたこともあり、自立は後回しにならざるを得ないということもある。ただどうしても期限があることなので話をしなければいけない」と指摘し、学校側のサポートとして、進路指導や奨学金の手続きなどを挙げた。

 その上で教員に対して「特別視せずに自然な見守りや声掛けをお願いしたい。時に周りから『かわいそうな子』と見られたり言われたりして傷付く子もいる。さまざまな背景を持っているが、自分の人生を生きようとしている一人の子として尊重してほしい」と強調した。

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