少子化や人口減少を背景とした学校の統廃合や小規模校の魅力向上などについて、全国の先進自治体が取り組みを発表する「学校魅力化フォーラム」(主催:文科省)が8月9日、オンラインで開かれた。人口減少に直面する自治体が、小中一貫不登校特例校の設置や、留学生を受け入れる「島留学」の導入などさまざまな工夫をこらし、学校教育の魅力向上を目指す様子が報告された。
今回発表したのは▽宮津市教育委員会(京都府)▽白石市教育委員会(宮城県)▽新発田市教育委員会(新潟県)▽北方町教育委員会(岐阜県)▽鳥羽市教育委員会(三重県)▽更別村・中札内村教育委員会(北海道)。小中一貫教育の推進やコミュニティ・スクールの充実、学校間連携、オンライン授業など、幅広い取り組みが話題に上った。
その中で宮城県白石市教委の半沢芳典教育長は、「従来型の学校統廃合ではなく、現在の小学校10校、中学校5校を、小中一貫義務教育学校・小中一貫小規模校・小中一貫不登校特例校という、規模や特色の異なる3校に再編する」という構想を今後、進めていくと紹介。学校の選択を可能にし、転出入も認めるという。
半沢教育長は「これまでのように近隣の複数の学校を統廃合して適正化を図ったり、『ここに住んでいるからここの学校』としたりするのではなく、自分に合った学校、特色ある教育課程で学ぶことを選択できる」と語った。小中一貫不登校特例校はすでに今年度開校しており、「学校らしくない学校で、中学校では部活動や定期テストがない。非常にゆとりのある学校生活が送れているという声を、子供や保護者、教職員から聞いている」と紹介した。
また、三重県鳥羽市教委の小竹篤教育長は、市内の離島・答志島にある小中学校で、2018年度から島外の子供たちを受け入れる「寝屋子の島留学」を始めたことを紹介。単身留学や親子留学のほか、同島に住む祖父母宅から通学する「孫留学」があり、6年間で延べ14人を受け入れているという。
島留学には、単身で受け入れる場合のメンタル面のケアや、高校進学で島を出る中学生の進路保障などの課題がある一方、小学校では留学生の受け入れにより複式学級の解消につながる可能性がある、離島の子供たちにとって新しい人間関係を作る機会となるなどのメリットもあるといい、「毎年少人数でもよいから、細く長く続けていきたい」と述べた。
学校基本調査(22年度)によれば、過去10年間で公立小中学校の学校数は9.7%(3011校)、児童生徒数は9.5%(94万5374人)減少。公立小学校の41.9%、公立中学校の48.9%が、標準規模(12~18学級)を下回る状況にある。