こどもと接する仕事に就業する際に性犯罪歴がないことを証明する「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の制度化に向けた検討を進めている、こども家庭庁の有識者会議は8月23日、第4回会合を開き、これまでのヒアリングなどを踏まえ、日本版DBSの課題を詰めた。論点の一つだった学習塾やスポーツクラブなどの民間を国が認定するやり方とするか、義務化の対象に含めるかについては構成員の間で意見が分かれた。有識者会議は次回の会合で報告をまとめる方針。
この日の会合では、これまでのヒアリングやその後の議論を踏まえて、改めて日本版DBSの各論点について構成員で話し合った。こども家庭庁の担当者によると、日本版DBSが必要であることや、対象となる性犯罪歴はこどもに対するものだけでなく、成人に対するものも含めることなどはおおむね構成員の間で方向性が一致した。
一方で、構成員の間で意見が割れた論点も多く残された。中でも学習塾やスポーツクラブなどの民間教育の場でこどもと接する職種に就く人を対象とするかについては、民間でこどもと接する業種、職種が幅広く、線引きが難しいことや、まずは日本版DBSの制度化を急ぎ、段階的に範囲を広げていくことを検討していくべきだという理由などから、学校や保育所などの設置者が安全確保のために法律で義務付けられた措置と同様の措置を実施している事業者を国が認定し、認定を受けた場合は日本版DBSによる犯罪歴の照会を義務付ける仕組みを設ける案が出ていた。
この日の議論では、多くの構成員がこの案を支持した一方で、一部の構成員からはこどもに接する事業をできるだけ広く日本版DBSの対象にするよう求める声もあったという。
こうした議論を基に、有識者会議は9月5日に開かれる予定の次回会合で報告をまとめる考えで、こども家庭庁ではこれを受けて、次の国会での日本版DBSの制度創設に関する法案提出を目指す。