小規模校や専門人材活用 遠隔教育の事例紹介、義務教育WG

小規模校や専門人材活用 遠隔教育の事例紹介、義務教育WG
オンラインで行われた第8回会合(文科省YouTubeで取材)
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 中教審の「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下に設置された、「義務教育の在り方ワーキンググループ」(主査:奈須正裕・上智大学総合人間科学部教授)は8月24日、第8回会合を開き、オンラインを活用した遠隔教育の在り方について議論した。中学校を対象に、より効果的な教育を実施するために必要な場合に文科省が認める「遠隔教育特例校制度」を活用している自治体の報告を受け、義務教育段階での遠隔教育の在り方について話し合った。

 小規模校・複式学校を多数抱える北海道教育委員会は、教育の機会均等や水準の維持・向上のため、ICTを活用した遠隔教育が必要だと説明。その中で北海道北部にある幌延町教委は、全校生徒52人・教職員15人の中学校から、約30㌔離れた全校生徒3人・教職員3人の別の中学校に向け、英語科・理科・道徳科の授業を配信している様子を報告した。「生徒が専門の教員による授業を受けられる」「交流が増える」といったメリットの一方、「ICT機器の調子が悪いと声が止まる」などのデメリットも報告された。

 また茨城県教委は、英語のネーティブ・スピーカーなど高度な英語力を持つ人材や、プログラミングの高度人材が、習熟度の高い生徒向けに授業をする取り組みについて報告。生徒との信頼関係を構築するため、必要に応じて対面の授業を取り入れるなどの工夫も紹介した。教員からは「生徒の学習に対する興味・関心や理解度が向上した」などの声が聞かれたという。

 これに対し、中川一史臨時委員(放送大学教授)は「義務教育の中での遠隔教育という特別な枠組みから、日常的なオンラインの活用に、そろそろ捉え方として移行していく必要がある」と指摘。堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授、 東京学芸大学大学院教育学研究科教授)も「小規模校やへき地の教育の改善のために、遠隔オンライン教育をもっと柔軟に実施できるようにすべきだ」と述べた。

 一方、黒沢正明臨時委員(東京都八王子市立高尾山学園校長)は「オンラインについては3つのハードルがある。1つ目は発信側の教員一人一人のスキル、新しいことに対する受け入れ方。2つ目は受信側の、家庭や子供のスキル、家庭の学習環境。3つ目は対面型の授業をベースに(オンライン授業を)すると、耐えられない子どもが出てくることだ」と課題を指摘した。

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