幼児期までの育ちビジョン 5本柱の中間整理の素案を提示

幼児期までの育ちビジョン 5本柱の中間整理の素案を提示
「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の策定に向けた中間整理の素案が示された「幼児期までのこどもの育ち部会」の第6回会合
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 こども家庭審議会の「幼児期までのこどもの育ち部会」は8月29日、第6回会合を開き、これまでの議論を踏まえ提示された「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の策定に向けた中間整理の素案を検討した。こどもの誕生期から幼児期までは、人の将来にわたるウェルビーイングの基盤となる最も重要な時期と位置付け、こどもの育ちの観点を5つの柱で整理した。

 同部会では、こども家庭庁の設置に伴い、妊娠期から幼児期まで一貫した指針を策定することが閣議決定されたことを踏まえ、この指針のベースを話し合ってきた。これまでは「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)」としてきたが、素案の段階で「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」と改めた。

 素案では、ウェルビーイングを「身体的・精神的・社会的に良い状態にあるという包括的な幸福として、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含む」と定義。全てのこどもの誕生期から幼児期までのウェルビーイングの向上に社会的投資をしていく重要性を、社会全体で共有していかなければならないとした。

 その上で、素案では幼児期までのこどもの育ちのビジョンについて、①こどもの権利と尊厳を守る②「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める③「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える④共に育つ保護者・養育者のウェルビーイングと成長を支える⑤こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す――の5つの柱で整理した。

 特に②ではこどもと保護者・養育者の間に安定した愛着が形成されること、豊かな遊びや体験、多様な人との出会いが保障されていることなどを強調。③では就園や小学校への就学などの節目を迎えても切れ目なく育ちを支えていく必要があるとし、幼児期と学童期以降の接続の普段の改善が重要だとした。

 この素案について水野達朗委員(大阪府大東市教育委員会教育長)から「乳幼児期にとって重要な遊びの項目に関して、遊びから学ぶことは幼児教育の文脈では積み重ねられた知見に基づいて語ることができると思うが、義務教育期ではまだまだ幼児教育と同じ認識ではないように感じている。学齢期以降においても学びとしての遊びや、遊びが学びにつながっていく概念は重要だと感じるので、そのようなのりしろになるような言葉を追加してみては」という指摘や、坂﨑隆浩委員(清隆厚生会こども園ひがしどおり理事長・園長)から「ビジョンがある程度どこにつながっていくかというと、小学校の関係者が非常に大きい。このビジョンが次の小学校以降とどうつながるかは課題だと思う。それらのことについてもある程度記載をしていくべきではないか」という意見が出るなど、中教審の「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」の審議まとめなども踏まえつつ、小学校段階との接続についてさらに踏み込んだ言及が必要との声があった。

 また、この日の会合では、国家戦略特別区域法を踏まえた地域限定保育士制度について全国での実施を可能とすることや、幼保連携型認定こども園で配置が求められている保育教諭の特例措置が2024年度末で期限を迎えることによる改正などを検討する「保育士資格等に関する専門委員会」の設置も決まった。

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