こどもと接する仕事に就く際に、性犯罪歴がないことを証明する「日本版DBS」の導入を巡り、認定NPO法人のフローレンスは9月1日、民間の学習塾や習い事なども日本版DBSの義務化の対象に含めるよう求める要望書を小倉将信こども政策担当相に手渡した。フローレンスが行った署名では8万筆を超える賛同が寄せられており、小倉担当相は日本版DBSの対象について「私自身もできる限り幅広い業種を対象とすべきではないかと考えている」と表明した。
日本版DBSは、制度化に向けてこども家庭庁の有識者会議で議論が進められているが、学校や保育所などに加えて、民間の学習塾や習い事、スポーツクラブなどを含めるかどうかについては、こどもと接する業種・職種が幅広く、線引きが難しいことなどから、国の認定を受けた事業者が日本版DBSを利用する「認定制度」とする案が出ている。
要望書では、こどもを性被害から守る制度として日本版DBSを機能させるためには、学校や保育所だけでなく、学習塾や習い事も義務化すべきだと指摘。ボランティアも含め、こどもと関わる全ての仕事でDBSのチェックを義務化すべきだとしている。合わせて8月10日から実施したオンライン署名では、9月1日時点で8万1801人の賛同が集まった。
要望書を受け取った小倉担当相は「有識者会議でもさまざまな意見がある。当事者からは、できる限り幅広く、こどもたちの安全が守れるようにという意見も頂戴している。有識者会議の報告を待ちたいとは思うが、私自身もできる限り幅広い業種を対象とすべきではないかと考えている」と述べた。
署名と要望書の提出後に行われた記者会見で、フローレンスの駒崎弘樹会長は「塾や習い事が外れてしまうと、やはりこどもの身に危険を与えてしまうようになると思っている。塾や習い事にも、性犯罪者やその傾向がある人が紛れ込んでいる。塾や習い事にも日本版DBSを適用して、こどもたちが性被害を受けない社会にしていく必要がある」と、改めて日本版DBSを民間も広く対象とすべきだと強調。一方で「認定制度」の案については「当初の報道では、『任意の手上げ制』という言い方で、弱い印象を受けた。今日の大臣の話では『認定制度』であっても『どちらでもいいよ』という任意のものというより、『当然入りますよね』というくらいのものと感じたので、それであれば効力もあるのではないか」と「認定制度」の案についても一定の理解を示した。