人種差別の問題に取り組む市民団体「Japan for Black Lives」は9月7日、文科省を訪れ、髪質や髪型に関する学校の生徒指導や校則の禁止を要望した。これらは、さまざまなバックグラウンドを持つ子どもにとっての差別に当たるとし、学校に専門家による講習会や資料提供の場を定期的に設けることを求めている。Japan for Black Livesが行っているオンライン署名には、3月30日から9月6日までに3万7694筆の賛同が寄せられた。
文科省の児童生徒課と国際教育課に提出した要望では、黒髪直毛ではない生徒に対し、生来の髪質や髪の色を届け出る「地毛証明書」の提出や三つ編みなどの特定の髪型の禁止、卒業式をはじめとする式典に、髪型などを理由に隔離して参加させたなどの日本の学校現場の事例を挙げ、これらは外国ルーツの子どもをはじめ、さまざまなバックグラウンドを持った子どもへの差別的な対応であると指摘。
文科省に対し、差別的な行為の禁止や問題のある校則の見直しを学校に通知するよう求めたほか、髪の色や髪質が多様で、ヘアスタイルには髪の毛や頭皮を保護する目的やアイデンティティーに関わるものがあることを教職員が理解できるように、専門家による講習会や資料提供の場を定期的に設けることを提言した。また、ルーツや髪質などの個別の事情を踏まえずに一律の対応を取ろうとしているところに問題の発端があるとして、学校は当事者や家族の話に耳を傾けてほしいと訴えている。
Japan for Black Livesの川原直実代表は「学校は基本的な差別問題の知識が不足している。不当な差別を受けた子が、その後どれほど苦しむかを想像してほしい。差別問題に対する理解のアップデートが必要だ。教員は差別問題について意識的に学んでほしい」と話す。