「マイノリティーへ配慮欠けている」 こども大綱中間整理案に意見

「マイノリティーへ配慮欠けている」 こども大綱中間整理案に意見
こども大綱の中間整理案について意見する委員ら(YouTubeで取材)
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 こども家庭審議会の「社会的養育・家庭支援部会」は9月12日、第3回会合を開き、今月4日にこども家庭審議会の「基本政策部会」において出された「こども大綱」の中間整理案について委員らが意見を述べた。委員からは「セクシュアルマイノリティーや社会的マイノリティーなど、さまざまなマイノリティーの方への配慮が欠けていると感じる」「今現在、貧困状態にあるこどもや若者が見たときに、苦しくなってしまうのではないか」といった指摘が上がった。

 この日の会合には、小倉将信こども政策担当相も出席。冒頭「今回の部会の議論などを聞いた上で、年末のこども大綱策定に向けて取り組みを進めていきたいと考えている。『こどもまんなか社会』は、全てのこども・若者を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しをすることで、実現していくものだ。活発な議論をお願いしたい」とあいさつした。

 こども大綱の中間整理案では、こども施策の基本的な方針として、①こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る②こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、共に考えていく③こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応していく④良好な成育環境を確保し、格差や貧困の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする⑤若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路(あいろ)の打破に取り組む⑥施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方自治体、民間団体等との連携を重視する――の6つの柱を掲げている。

 渡辺睦美委員(全国子どもアドボカシー協議会理事)は「全体的な表記が、こどもや若者に『自分たちで乗り越えてね』『自分たちが強くなってね』と言っているように感じられる。困難に直面せざるを得なかったこどもたちもいる。さまざまなマイノリティーの方への配慮が欠けている文章なのではないか」と指摘。また、こども・若者の社会参画や意見反映についても、「家庭環境などにより、社会参画が難しかったり、声を上げるのが難しかったりする若者は非常に多い。このままでは、私が関わっているこどもや若者に見せることができないなと、個人的には感じている」と意見を述べた。

 また、則武直美委員(全国児童養護施設協議会副会長)も「私もこの中間整理案を見たときに、大人目線に立っているような表現がすごく多いと感じた。もっとこどもたちを社会全体で育てていくというようなメッセージを打ち出し、こどもや若者に自信を持って見せられる大綱をつくりあげられたら」と考えを示した。

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