東京都教育委員会は今年度から「外国語に触れる機会の創出」事業をスタートさせた。9月からは、英語を母国語とする約40人のネイティブ人材が都内の公立小学校303校に順次訪問し、児童とともに授業に参加したり、休み時間を一緒に過ごしたりするなどして交流を深めていく。9月13日には、実施校の一つである江戸川区立第二葛西小学校(平川惣一校長、児童968人)で同事業の様子が公開され、6年生の体育の授業にネイティブ人材が参加。児童と英語で作戦会議をしながらキャッチバレーボールを楽しんだ。
都教委では、今年度から児童の英語によるコミュニケーション能力の向上、国際理解教育の推進を図るため、「外国語に触れる機会の創出」事業を開始。9月から来年3月まで都内の公立小学校303校を対象に、ネイティブ人材が実施校を訪問する「イングリッシュ・ウィーク」と「イングリッシュ・キャラバン」を実施している。
「イングリッシュ・ウィーク」は、同一のネイティブ人材1人が原則として1週間、各教科の授業や、給食や掃除、休み時間や放課後など、学校生活の中で児童と英語で交流する。「イングリッシュ・キャラバン」は、ネイティブ人材5人程度が丸1日、児童と英語で交流する。実施校のニーズに合わせて、どちらかの形態を選んでおり、今年度は「イングリッシュ・ウィーク」実施校が105校、「イングリッシュ・キャラバン」実施校が198校となっている。
「イングリッシュ・ウィーク」を選択している第二葛西小学校には、9月11日からカナダ出身のチャールトン・バループさんが訪問し、各学年の授業やクラブ活動に参加したり、休み時間に児童と一緒に遊んだりして交流を深めている。13日には、6年1組の体育の授業に参加。小学生でも楽しめるように、レシーブやトスの代わりにボールをキャッチするルールを取り入れた「キャッチバレーボール」を一緒にプレーした。
授業の冒頭、チャールトンさんが英語で声を掛けながら、準備体操を行った。児童らはチャールトンさんとともに「ワン、ツー、スリー」と英語で回数をカウントしながら肩を回すなどして、身体を温めた。その後は、児童が実際に見本を見せながら、チャールトンさんにキャッチバレーボールのルールなどを説明し、チームに分かれてゲームを行った。
「ナイス!」「グッジョブ」-。ゲーム中も点が入るたびに声を掛け合う児童とチャールトンさん。作戦会議タイムでは、児童がチャールトンさんに、空いているスペースを狙ってスパイクを打つことや、トスの時にはもっと声を掛け合うことなどを、ジェスチャーを使いながら英語で伝えていく。チャールトンさんもしっかり理解できたようで、同じチームだった児童らは「思っていたよりも、英語でちゃんと伝えられたと思う」「エンジョイできた!」「もうちょっと英語を学んでいきたいと思った」と、うれしそうに話した。
授業後、チャールトンさんの周りには多くの児童が集まり、笑顔でコミュニケーションを取る姿が印象的だった。都教委の担当者は「ALT(外国語指導助手)は外国語活動や外国語の授業のときだけ関わるが、このイングリッシュ・ウィークの取り組みでは、丸々1週間、さまざまな教科の授業や休み時間、給食などの時間に児童とネイティブ人材が交流できる。生活の中で場面に応じた英語での自然なやりとりができるようになるのではないか」と期待を込めた。