教育の「再生」から「公正」に 中間整理案の表現を修正へ

教育の「再生」から「公正」に 中間整理案の表現を修正へ
こどもたちにも中間整理の内容を分かりやすく説明することを目指して作成中の「やさしい版」の案
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 年末に閣議決定される見込みの「こども大綱」の策定に向けて、今後5年程度のこども・若者に関する施策の基本方針に関して議論しているこども家庭審議会の基本政策部会は9月15日、第9回会合を開き、前回会合で示された同審議会としての意見の中間整理案の修正を検討した。教育分野に関しては、ライフステージ別の重要事項の「学童期・思春期」に項目が設けられていた「こどもが安心して過ごし学ぶことのできる質の高い公教育の再生等」について、「再生」ではなく「公正」という言葉を入れる方向で調整されることとなった。

 中間整理案は現在、基本政策部会以外の部会でも関連する内容について意見を求めており、9月下旬に開かれるこども家庭審議会の総会で各部会からの意見が報告される予定となっている。

 この日の基本政策部会では、前回会合で出た委員からの意見を踏まえた中間整理案の修正版についてさらに検討した。

 松本伊智朗委員(北海道大学大学院教育学研究院特任教授)が事前に提出していた意見書の中で「こどもが安心して過ごし学ぶことのできる質の高い公教育の再生等」という項目について、「『再生』という用語には、現在あるものが機能していないという意味が含まれる。公教育は現時点でも重要な役割を果たしていると認識しているので、むしろ『充実』等の表現が良いのではないか。また『公正』という用語を使用して、充実を図る際の軸を明確にすることも検討されるべき」と指摘。

 これに対して貞廣斎子委員(千葉大学教育学部教授)も「事務局の立場も非常によく分かるし、(『再生』は)骨太の方針に書かれていたり、会議体の名称になったりしていることも十分に理解しているのだが、現場への影響力やそもそも日本の公教育は世界的にも評価が高いので、『再生』とこども大綱に明言することはやはりかなりの躊躇(ちゅうちょ)がある。もし修正が難しいのであれば、どこかに『公正』ということを入れてほしいと思った。私もこの会議の中で格差の是正、社会的包摂、社会的公正の実現という3つが、非常に教育には大事だと発言していたが、公正が明確に出ていない。包摂は入っているので良いかなとも思ったが、そういう文言を入れていただくことをセカンドベストで検討してほしい」と賛同した。

 こうした意見を踏まえ、秋田喜代美部会長(学習院大学文学部教授、東京大学名誉教授)は「公教育の質をより高め、公正の実現を図る」という修正案を提示。事務局とこの方向で調整をしていくことになった。

 中間整理は9月末の総会で取りまとめられた後、こどもたちからヒアリングをする機会などが設けられる予定で、この日の会合では、こどもたちにも中間整理が分かりやすく伝わるように編集された「やさしい版」の案も示された。「やさしい版」はできるだけ平易な表現を心掛け、箇条書きや吹き出しでポイントを説明。イラストも多用して、こどもたちにとって親しみやすいものを目指す。

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