京都市教育委員会は9月14日、同市立学校の教員不足が深刻化しているため、来年4月の新たな採用が内定している正規教員を早ければ今年10月に前倒しして採用するほか、潜在教員の掘り起こしなどの人材確保に向けた「教職スタートパッケージ」の創設などを盛り込んだ教員確保の緊急対策を実施すると公表した。欠員が出ている学校において教員の代替で担任業務や授業を担っている教務主任らの事務作業負担を軽減するため、校務支援員の追加配置も盛り込んだ。
京都市では、育児制度利用者の急増などを背景に、臨時的任用教員など代替の教員が確保できず、学校現場での教員不足が深刻化していることから、教員確保に向けた緊急対策の実施を決めた。
正規教員の採用前倒しについては、今年度実施の教員採用選考試験の結果が9月22日に発表される予定で、その合格者のうち、若干名を2024年4月1日より前倒して採用する。市教委の担当者は「合格者の現在の就業状況などにもよるが、可能な場合は最短で10月1日からの採用を想定している」と説明する。
「教職スタートパッケージ」には、教員免許状を取得しているが現在は教職についていない、いわゆる「ペーパーティーチャー」などの潜在教員を掘り起こし、教員人材の確保につなげるため、教職に就く際の不安解消を図る施策を盛り込んだ。具体的には、▽教職に就くにあたっての説明動画の配信▽京都教師塾と連携した特別講座の無料視聴や就業にあたっての相談の実施▽任用後1週間程度、校内での業務準備や授業補助などを担う期間とする「教職スタート業務期間」の設定――などに取り組む。合わせて求人サイトへの掲載や、市バスや地下鉄の車内広告、教員採用のホームページの新設など、情報発信も大幅に強化する。このパッケージの創設に補正予算に500万円を計上する。
校務支援員の追加配置では、教員の育産休の取得などによって現在、欠員が生じている学校では教務主任などが担任業務や授業を担っているケースが多いため、すでに全ての学校・幼稚園に配置している校務支援員をさらに追加配置し、教務主任などの負担軽減を図る。追加配置の規模は市内50校程度を想定しており、補正予算に4000万円を盛り込む。
京都市教委の担当者は「本来であれば教員を増やすことが一番大切だが、なかなか難しい現状がある。今回はあくまで緊急の対策。できることから進めていき、学校現場の負担を軽減したい」と話した。