子どもの6人に1人が極度の貧困に SDGs達成できないと指摘

子どもの6人に1人が極度の貧困に SDGs達成できないと指摘
iStock.com/Ralf Geithe
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 世界の子どもの6人に1人は極度の貧困状態にある――。ユニセフ(国連児童基金)と世界銀行はこのほど、世界で推定3億3300万人の子どもが極度の貧困状態で暮らしているとする報告書を公表した。2013年から22年までにこの割合は減少したものの、コロナ禍の経済的な影響で減少のペースが鈍化していると指摘。このままでは、2030年までに子どもの極度の貧困をなくすという国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成はできないと警鐘を鳴らしている。

 9月13日に公表された「国際貧困ラインでみる子どもの貧困の世界的動向」(原題:Global Trends in Child Monetary Poverty According to International Poverty Lines)は、極度の貧困状態にある子どもの動向を初めて分析したもので、世界銀行が国際的に調整された家計調査のデータを集めた「グローバル・モニタリング・データベース」で得られた147カ国、約1040万人分のデータを分析した。

 報告書では、国際基準で1日2.15米ドル未満で暮らしている「極度の貧困」にある子どもは、13~22年にかけて約3億8000万人から約3億3300万人に減少したものの、コロナ禍の経済的な影響で、子どもの貧困の削減は予測より約3000万人少ないと指摘。22年の子どもの極度の貧困率は15.9%で、これは19年と同じ水準であり、3年間分の進歩が失われたとしている。

 また、極度の貧困の状態にある子どもの割合は保護者が教育を受けていたかにも影響しており、保護者が教育を受けていない家庭の子どもの32.6%が極度の貧困の中で暮らしているのに対し、保護者が高等教育を受けている家庭で極度の貧困状態にある子どもの割合は3.6%に過ぎなかった。

 SDGsのターゲット1「貧困をなくそう」の実現に向けて、ユニセフと世界銀行では、各国政府などに対し、子どもの貧困対策を目的とした取り組みを優先的に行うことや、子どもの貧困削減に効果的だとされる普遍的な児童手当を拡充させることなどの施策を提言している。

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