加藤鮎子こども政策担当相は9月26日の閣議後会見で、こどもと関わる仕事に就く場合に性犯罪歴がないことを確かめる「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の制度化に向けた法案の国会提出について、「スケジュールについては定まったものがない」と述べた。日本版DBSを巡っては、こども家庭庁の有識者会議が9月5日に報告書を取りまとめており、小倉将信前こども政策担当相はこれを踏まえ次の臨時国会での法案提出を目指す考えを表明していた。
一部で次の臨時国会での日本版DBSの法案提出を政府が断念したと報じられたことを受けて、加藤担当相は会見で「(そうした報道があるのは)承知しているが、(日本版DBSの)法案のスケジュールについては定まったものがない。日本版DBSについては先般、有識者会議の報告書が取りまとめられたところであり、今後、この報告書を基に、与党をはじめさまざまな意見を伺いながら制度設計を進めていく段階と認識している。こども家庭庁としては、ご意見を踏まえながら早急に制度設計を固めていくことに最大限努力をしていく」と説明した。
さらに、小倉前担当相が次の臨時国会で法案提出を目指す方針を掲げていたことについては「提出を目指すという趣旨の発言があったのは承知しているが、実際の現実的なさまざまなスケジュールということに関しては、正式に定まったものがあるわけではない」と改めて強調した。
日本版DBSの制度化に向けた有識者会議の報告書では、学校や保育所などの設置者に対して、こどもの安全を確保する責務を法律に明記し、日本版DBSでこどもと接する職員の性犯罪歴を確認する義務を定めるべきだとした一方で、民間の学習塾やスポーツクラブなどは認定制とし、利用者に対して認定を受けた事業者が分かるようにすることを提案。性犯罪歴の範囲は、裁判所によって事実認定された前科とされ、対象とする前科の期間には一定の上限を設けること、迷惑行為防止条例や青少年健全育成条例を含めるには課題があるとしており、性犯罪の被害に遭った当事者団体などから疑問の声が上がっていた。
9月7日に有識者会議の報告書を検討した自民党の「こども・若者」輝く未来実現会議でも、日本版DBSの実現は、スケジュールありきではなく、より実効性を高めた制度にするための慎重な検討が必要とされていた。