普段会うことのない、遠方に住む同い年の中学生は、どんなことを考えているのか――。千葉県の市川市立東国分中学校(石塚秀樹校長、生徒350人)と岡山県総社市立昭和中学校(北川和美校長、生徒77人)の1年生がオンラインでつながり、それぞれの地域の共通点や相違点について考えを深めるための合同授業が、このほど行われた。
両校は今年度から10代向けのエドテック・プログラム「Inspire High」を活用。両校の生徒たちは夏休み中に、居場所を題材とした同プログラムの動画を見て、町や地域のお気に入りの場所について考えてきた。この日の意見交換のテーマは「地域によって変わるもの、変わらないもの」。生徒たちは少人数のグループに分かれ、オンラインで遠くの「同級生」とつながった。
あるグループの生徒たちは「地域によって変わるものは、建物とかの雰囲気」「(住んでいる)人の数や環境が違うから、スーパーや建物の数も違う」「こっち(千葉)では夜、星が見えない。岡山では見えるのかな」「変わらないものは、学校とかの建物」「地域の有名な建物や食べ物があることは、どちらも同じ」「同じ国だから、変わらないものもある」――など、画面越しに活発な意見交換をした。
授業を担当した東国分中の丹羽要教諭は「私の不安をよそに、生徒たちは緊張しながらも意欲的に取り組み、時間がたてばたつほど話し合いは盛り上がった。デジタルネーティブである彼らは、離れた人たちとリモートでつながることは当たり前。ようやく彼らの当たり前に学校が追い付いた感覚になった」と語った。
一方、昭和中の河崎太希教諭は「田舎の小さな学校としては、他の世界につながることを体感できた時間だった。オンラインという手段を使えば、小集団で、生徒が主体となって同時双方向的にコミュニケーションができるという実感が持てた。こうした経験が積み重なり、課題を発見する力が磨かれ、探究的活動の質的向上が図られるのではないか」と述べた。