こども家庭庁は9月29日、今後5年程度のこども・若者に関する施策の基本方針を定める「こども大綱」の策定に向けた中間整理を公表した。この日の閣議後会見で加藤鮎子こども政策担当相は「こどもまんなか社会の実現には、こども・若者の視点が最も重要であるという観点から取りまとめられている」と強調。同日よりこども大綱の策定に向けたパブリックコメントを開始し、こども・若者、子育て当事者などから幅広く意見を募集する。年内にはこども家庭審議会からの答申を基に、政府のこども政策推進会議でこども大綱案が了承され、閣議決定される見通し。
中間整理は「少子化社会対策大綱」や「子供・若者育成支援推進大綱」「子供の貧困対策に関する大綱」を一元化し、さらに今後5年間で必要なこども・若者施策を充実させたこども大綱のベースとなるもの。
こども施策に関する基本的な方針として、①こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る②こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに考えていく③こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する④良好な成育環境を確保し、格差や貧困の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする⑤若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路(あいろ)の打破に取り組む⑥施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方自治体、民間団体等との連携を重視する━━の6つの柱を掲げている。
今回の中間整理の特徴として、▽目指すこどもまんなか社会の姿が、こども・若者の目線で描かれていること▽基本的な方針として、こども若者が権利の主体であることが明示されているとともに、こども・若者、子育て当事者とともに考えていくとされていること▽少子化対策について若い世代の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、その視点に立って進めることが明確に打ち出されていること▽政策に関する重要事項について、こども・若者の目線で分かりやすく示すため、こども・若者のライフステージごとに分かりやすく提示されていること▽こども大綱の下で具体的に進める施策について、こどもまんなか実行計画を策定し、毎年改定を行い、骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)や各省庁の概算要求などに反映する新たな枠組みが提案されていること━━などが挙げられる。
加藤担当相は同日の閣議後会見で「中間整理は、こどもまんなか社会の実現にはこども若者の視点が最も重要であるという観点から取りまとめられている。今後はパブリックコメントやオンライン公聴会、各団体へのヒアリングなどを行う予定だ。さらに当事者目線に立ったこども大綱を、皆さまとともにつくりあげていきたい」と意欲を見せた。