東京都の渋谷区立渋谷本町学園中学校(清野正統括校長、生徒204人)で9月27日、中学2・3年生と特別支援学級の生徒が、まちづくりのシミュレーションソフトを使った課題解決の授業に取り組んだ。渋谷区に本社があり、同区教委とプログラミング教育やPBL(課題解決型学習)で連携協定を結んでいるIT大手のMIXI(ミクシィ)が授業を支援。「地球環境を守りながら、都市を発展させることはできるか」――。生徒らは端末を片手に、リアルな難題に向き合った。
今回使用するソフトはMIXI開発本部CTO室のエンジニア・田那辺輝さんが教材として独自に開発した、情報学習/社会課題学習向けソフトウェア「MIXIブロックアイランド」。このソフトを使って、生徒らは農村や都市を発展させていくが、そこでは経済成長だけでなく、二酸化炭素排出量や健康・福祉、公正・平等など、さまざまな項目の達成度が円グラフで可視化され、不十分な部分に対策を講じることができるようになっている。
この日の授業は全5回のうち、導入に次ぐ2回目。田那辺さん自身が講師となり、生徒らは少人数の班を作って、今後取り組みたいテーマについて語り合った。「世界的な地球温暖化対策と、日本の課題である経済成長を同時に目指したい」「自然に優しく、予算のかかり過ぎない発電方法を検証したい」「貧困対策のため、農業や教育を充実させたい」といった意見が上がった。
生徒らは今後、このソフトを使って試作や検証を進め、その過程をレポートにまとめて発表する予定。合わせて、インターネットを使ってより詳細な情報を集め、個人がどう行動すれば課題解決につながるか、班で考えを深める。
MIXIと連携した授業について、同校の福守久子主幹教諭は「教員にはない発想もあり、新たな視点が広がる。とりわけ今回のように、班ごとにテーマに取り組む学びを考える上で参考になる部分は多い。生徒たちには、大人に教えられたことをその通りに進めるのではなく、自分で問いを立てて課題を見つけ、解決していく力を身に付けてほしい」と話した。