熊本で育った若者が活躍するまちを目指そうと、熊本市内13校の高校生徒会からなる「熊本魅力推進生徒会」が設立され、このほど、同市に対する政策提言を行った。「小中高校生向けの自習スペースの設置」や「熊本市内の高校体験授業」「地域活性化を促すための高校生用のホームページ作成」など、高校生の視点からなる17の提言を、大西一史市長や遠藤洋路教育長らに伝えた。
同市立必由館高校と同市立千原台高校の生徒会が、生徒主体の学校運営プロジェクトを進める中で、「市内にある他の県立や私立の高校にも意見を聞いて、一緒に魅力ある熊本市にするための提案を考えたい」との意見が出た。その後、両校の生徒の呼び掛けに応じた同県立済々黌高校、同県立熊本高校、私立鎮西高校など、市内13校の高校生徒会が参加し、「熊本魅力推進生徒会」が立ち上がった。同生徒会は8月と9月に意見交換会を行いながら、同市への具体的な提言内容を検討してきた。
9月下旬に行われた同市への政策提言会には、大西市長や遠藤教育長らが出席。必由館高校と千原台高校の生徒が代表し、「熊本で育った若者が活躍するまち」を目指した、17の提言を行った。
まず、若者が熊本でも、国際的にも活躍できるために、「小中高校生向け自習スペースの設置、塾代一部負担」「熊本市高校生の留学支援制度復活」「熊本市内の高校体験授業」などを提言。自習スペースの設置については、「児童生徒のいる世帯の5割以上が、生活が苦しいと感じているというデータがある。勉強したいと思っている子どもたちが、経済的な理由でその場所を制限されることがないよう、支援してほしい。空き店舗問題の解消にもつながるのではないか」と訴えた。高校体験授業については、「他校の授業風景や学校生活を見ることで、他校の魅力的な部分をどんどん取り入れるなど、母校のさらなる魅力化につなげることができる」と強調した。
また、若者がまちづくりの主役として活躍できるために、「高校生が市や学校への提案など、まちづくりに参加する仕組みの構築」「地域活性化を促すための高校生用ホームページ作成」などを提案し、「交流できる機会や場所を増やすことで、若者がつながり、まちづくりの主役になれる」と訴えた。「熊本魅力推進生徒会」の意見交換会では、特に高校生用ホームページの作成について多くの要望があったといい、「市内の高校生が自由に学校を紹介したり、行事やイベント情報を発信したりするなど、情報発信の場が増えれば、各校の良い取り組みを広げる機会にもなる」と話した。
そのほか、若者が積極的に行動できるために、「高校生の利用希望を調査してバスの本数を増やす」「市内にある高校を地域ごとに分けて回る高校生限定バスをつくる」など、交通事情の改善に向けた提言も行われた。
大西市長は今回の提言を受け、「多くの学校の生徒が提言してくれたことをうれしく思う。皆さんの発想はとても豊かで、高校生ならではの目線で考えられたものだ。簡単に実現できそうなものから、予算などが必要で時間がかかるものもあるので、しっかりと受け止め、今回の提言について実現できることを実現させていきたい」と述べた。