こどもの居場所指針答申素案を修正 学校の役割の記載充実

こどもの居場所指針答申素案を修正 学校の役割の記載充実
こどもの居場所づくりの答申素案の修正案を検討した居場所部会の第10回会合(YouTubeで取材)
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 年内のこどもの居場所づくりに関する指針の策定に向けて議論を進めているこども家庭審議会のこどもの居場所部会は10月6日、第10回会合を開き、答申素案の修正案について検討を行った。前回の議論を踏まえ、学校の居場所としての役割に関する記載が全体にわたって充実した。委員からは、学校現場の負担の大きさについての懸念から、教員不足への対応をはじめとする国としての財政的な関与を明記すべきだとする声も上がった。

 こどもの居場所について「ふやす」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」の4つの基本的な視点でまとめた答申素案は、前回の議論などを踏まえて加筆が行われ、例えば「ふやす」に関連した内容に「こどもにとって大切な居場所の一つであることから、学校を『みんなが安心して学べる場所』にすることや、家庭や地域との連携・協働を通じて、放課後を含め、学校がより多くのこどもにとっての居場所となることが期待される」という文言が追加されるなど、全体的に学校の居場所としての役割に関する記述が充実した。

 この日の議論でも、学校の居場所としての役割についてさまざまな委員から意見があった。

 安部芳絵委員(工学院大学教育推進機構教授)は「学校や文部科学行政で居場所がどのように位置付けられてきたかというのは書き込んだ方がいいのではないか」と、学習指導要領や生徒指導提要などとの関連を示すことを提案。今村久美委員(認定特定NPO法人カタリバ代表理事)は、先日文科省が公表した2022年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」で、小中学校における不登校児童生徒が30万人近くに増加したことを踏まえ、「(学校が)安心できていないんだということだと思うので、安心して学べる学校風土にするのだということ、風土という言葉を入れていただきたい」と要望した。

 また、成田秀幸委員(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園診療部長)は「学校は人手不足だと感じることがかなりある。居場所づくりの面で学校の機能や役割は大事で、見直しや発展をしてほしいと思う一方、現状の人手不足の中でどう発展させるのかという心配はある。第4章の『こどもの居場所づくりに関係する者の責務、役割』で入れるべきかどうかは分からないが、人やお金を投入することは現場だけではできない。国の方でしっかり予算を付けて、それで初めて中身も充実していける」と述べ、学校などの居場所の人材確保をはじめとする国の財政的な関与に何かしらの形で言及すべきだとした。この意見に対しては、複数の委員から地域づくりや子どもの権利の保障の観点から賛同する声が上がった。

 答申素案は現在、こども・若者を対象にしたパブリックコメントを募集しており、10月下旬に開かれる予定の次回会合で、そこで出た意見なども含めて修正案をさらに検討。11月中旬に答申案を取りまとめる予定。

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