「無駄づくり」藤原麻里菜さん 「何もしない授業をしてみたい」

「無駄づくり」藤原麻里菜さん 「何もしない授業をしてみたい」
「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」など、数々の「無駄」な発明品を発表している藤原さん
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 オンライン飲み会から抜け出したい時、画面がフリーズしたかのように見せかける「緊急脱出マシーン」、流し台で洗おうとすると水が飛び散るスプーン、シェアできるアイス「パピコ」をあえて一人で食べられる装置など、頭の中に浮かんだ不必要な物を作り上げる「無駄づくり」を主な活動とするコンテンツクリエーター・文筆家の藤原麻里菜さん。NPO法人みんなのコードが10月7日に開催したシンポジウムに登壇し、同NPOの利根川裕太代表理事と「ものづくりの楽しさ」について対談した。

 「私はすごく不器用で大ざっぱだが、ものづくりをするのが好き」と語った藤原さん。「昔から絵を描くとか、彫刻をするとか、手を動かして形を作ることが好き。高校生ぐらいからは『きれいなもの、かっちりしたものを作らないといけない』という流れを感じて、ふたをしていた時期があったが、19歳の時にふと、『無駄づくり』と名付けて無駄なものを作れば、雑な工作がエンターテインメントになるのではないかと思った」と、活動を始めたきっかけを語った。

 「学校の授業だったら、どんなことがしてみたいか」と問われた藤原さんは「『何もしない』という授業がしたい」と回答。「何かを生産するのではなくて、生産しないことを肯定するような授業をしてみたい。授業は何か得られるものがあるから価値があるとされるが、そうではなくて、何もしないことにも同じように価値を見いだすことは可能だと思う。何もしない時間を与えたら、子どもたちがそれぞれ、そこに価値を見いだすことができるのではないか」と述べた。

 藤原さんはまた「『1日5分、無駄なことをしてみよう』という宿題を出してみたい。『何も生み出さない』『何かのためにならない』というルールを作って、みんなが知らない国の料理を作ってみるとか、5分だけ踊ってみるとか」とアイデアを語った。

 その上で、参加した教員に対して「子どもが授業で受け取ることはとても多い。先生が好奇心のままに授業をすれば、『無駄』な授業の方がむしろ、子どもが受け取る余白ができると思う。先生には好奇心のままに授業をしてほしいし、その方が子どもたちも好奇心のままにものを作ったり、学んだりすることができるのではないか」とメッセージを送った。

 同NPOの利根川代表理事は「これまでの価値観では無駄だと思われることが、新しいイノベーションの源泉になることもある。100個ぐらい無駄なことをしてみると、その中からすごくよいものが出てくるような気がする」と応じた。

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