学校のプログラミング教育支援を手掛けるNPO法人みんなのコードがこのほど、都内でシンポジウムを開き、小中高におけるプログラミング教育の在り方について意見交換を行った。小中高の各段階でプログラミングの授業に取り組む教員3人が登壇し、学校段階や学年での学習内容の「接続」について問題提起した。
同NPOが教員や子ども・保護者を対象に実施した「2022年度プログラミング教育・高校『情報Ⅰ』実態調査」の結果によれば、回答した中学校教員のうち、小学校段階のプログラミングについて半数以上の生徒が理解していると回答した割合は18.6%にとどまった。同様に高校教員のうち、中学校段階のプログラミングについて半数以上の生徒が理解していると回答した割合は、わずか12.0%だった。
シンポジウムではこうした結果を踏まえ、学校段階での接続について議論。石川県の加賀市立橋立中学校の荒木誠吾教諭(技術・家庭科 技術分野)は「小中併設校にいる今は問題を感じないが、前任校ではやはり、学校間での習熟度の差が大きかった。習熟度の低い生徒に合わせてプログラミングを教え直さないといけないことが必ずといってよいほどあった」と指摘し、「小中の情報共有を進めていくことが大切だ」と語った。
高校段階では、千葉県立柏の葉高校の眞山和姫教諭(情報科)が「生徒たちはプログラミングとは何かを一般化できていないように感じる。例えば『スクラッチ』の猫のキャラクターを見せると『ああ(知っている)』と反応する生徒は結構いるが、違うプログラミング言語に取り組むとつまずきがある。アルゴリズムを抽象化・一般化できれば乗り越えられるのだが、『小学校や中学校でやってきたものと違う』となってしまう」と話した。
一方、埼玉県川越市立月越小学校の田中萌教諭は「昨年送り出した中1の子どもたちが小学校に遊びに来た時、『(中学校ではプログラミングを)全くやっていない』『休み時間にパソコンを使おうとすると怒られる』と話していた。中学校の先生に相談したが『中3でやるから』と言われて終わってしまった」と明かした。
同NPOで講師を務める千石一朗氏は「責任を押し付け合っても仕方がないが、(小学校や中学校で)全く触ったことがないか、基本的なことから教えなければならないケースもあり、プログラミングをやってきた学校とそうでない学校のアンバランスさを感じる。下の学校でしっかりやっておいてほしいという(教員の)思いは強いようだ」と指摘した。