環境省の環境教育等推進専門家会議は10月19日、第5回会合を開き、環境教育等促進法に基づく「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」の改定に向けた報告書のたたき台を検討した。報告書のたたき台では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成や気候変動などの世界規模の危機に対して、「持続可能な開発のための教育(ESD)」の実践の重要性を強調。一方で、学校での環境教育の実践は教職員の負担を軽減しながら、質や効果を高めていく方策を推進するとした。
6月に立ち上げられた専門家会議では、おおむね5年ごとに見直されてきた環境教育等促進法に基づく基本方針の改定に向けた議論を進めてきた。この日の会合で示された改定に向けた報告書のたたき台では、ESDが地球規模での問題の解決に向けて、学校や職場、地域などのさまざまな場で実践される必要があると明記。多様な主体同士の対話を通じた学びを実践していくことや、環境教育などの取り組みに関わる人や資源をつなぐ中間的支援の必要性などについて新たに言及した。
学校での環境教育に関しては、熱心な教職員によって環境教育が実践されていても、異動などで継続しないことも少なくないことや、外部との連携が十分に進んでいない状況を指摘。教職員の負担を軽減しながら質や効果を高めていく必要があるとし、具体的には、教員同士や社会教育施設、地域団体、企業などと連携した学習を促進し、地域人材を活用したり、中間的支援の機能を持っている組織を充実させたりすることを挙げた。
この日は事前に非公開の場で行われた、改定案のたたき台に関する委員同士によるグループディスカッションの内容が報告され、それを踏まえた意見交換が行われた。
専門家会議では11月に開かれる次回会合で、改定に向けた報告書を取りまとめる。