こども家庭審議会のこどもの居場所部会は10月20日、第11回会合を開き、「こどもの居場所づくりに関する指針」の答申素案について大筋で了承した。答申素案では、こどもの居場所となることを目的としてつくられた場や活動だけでなく、学校や習い事など、結果的にこどもの居場所となっているものも対象範囲とし、居場所づくりではこどもの権利擁護などを基盤に、「ふやす」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」の4つの視点で推進する方針を示した。
今年4月にこども家庭審議会へ「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の案の策定が諮問されたことを受け、こどもの居場所部会ではこれまで、関係団体やこども・若者へのヒアリングなどを行い、答申素案に向けた検討を進めてきた。
この日の会合で大筋で了承された答申素案では、こどもの居場所の特徴として▽個人的であり、変化しやすいものであること▽人との関係性の影響を受けるものであること▽立地や地域性、技術の進歩などの影響を受けるものであること▽目的によって性質が変化しうるものであること▽多くのこどもにとって学校が居場所になっていること▽支援する側と支援される側との相互作用があること▽地域づくりにつながるものであること――を挙げ、居場所とは、こども食堂や児童館などのように、居場所となることを目的としてつくられた場や活動はもちろん、学校は多くのこどもにとって重要な居場所であり、学習塾、習い事、SNS、オンラインゲームなども、こどもによっては貴重な居場所になっていると指摘した。
その上で、居場所づくりを進めるにあたっては▽多様なこどもの居場所がつくられる(ふやす)▽こどもが居場所につながる(つなぐ)▽こどもによって、よりよい居場所となる(みがく)▽こどもの居場所づくりを検証する(ふりかえる)――の4つの視点が相互に関連し合い、循環的に作用するものであるとし、「こどもの声を聴き、こどもの視点に立ち、こどもとともにつくる居場所」「こどもの権利の擁護」「官民の連携・協働」を各視点に共通する事項に据えた。
また、全体を通じて学校の居場所としての機能に関して随所で触れられており、前回の議論も踏まえて、「生徒指導提要」などの文科省の施策との関連性も追記された。
同部会では10月22日まで実施されているパブリック・コメントで寄せられた意見を踏まえ、次回会合で再度検討を行い、11月中旬には答申案として取りまとめる方針。その後、こども家庭審議会としての答申は11月下旬を予定している。