困窮家庭の半数近く 経済的理由で高校就学困難の可能性

困窮家庭の半数近く 経済的理由で高校就学困難の可能性
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 国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは10月25日、今年4月に中学校や高校に進学する子どもがいて、生活に困窮している家庭に対して行っている「子ども給付金」の利用者アンケートから、高校1年生の保護者の半数近くが、経済的な理由で子どもの高校就学を続けられない可能性があると答えた、との結果を発表した。昨年の「子ども給付金」の利用者アンケートの結果と比べ、その割合は増加しているなど、家庭の経済的な事情が高校生の就学継続に与える影響が大きくなっていることがうかがえる。

 アンケートは5月12~31日に「子ども給付金」を利用した世帯に実施。子ども276人、保護者586人から回答を得た。

 入学時に必要な費用について高校1年生の子どもの保護者に自由記述で尋ねたところ、教科書・教材代の平均額は国公立で3万4167円、私立で3万9125円と、国公立と私立では5000円程度の差しかなかった。運動着も国公立では2万5546円、私立では2万9191円と、同様の傾向にあった。

 一方で、パソコン・タブレット代は国公立は5万3335円なのに対し、私立は8万5110円と、私立の方が高額だった。入学にあたって、タブレット・パソコンの購入が必要だったのは国公立で46.7%、私立で64.2%と、私立の割合が高いことなどを踏まえると、私立高校に入学する場合の家庭の負担がより大きいことが分かる。

経済的な理由で高校の就学を続けられない可能性があると答えた保護者が挙げた最も負担となっている費用
経済的な理由で高校の就学を続けられない可能性があると答えた保護者が挙げた最も負担となっている費用

 高校1年生の子どもの保護者に、子どもの高校就学で心配なことを複数回答で尋ねると、最も多かったのは「経済的な理由により就学を続けられない可能性がある」で48.5%に上り、前回アンケートと比較すると4.4ポイント上昇した。その理由として、高校の就学継続に一番大きな負担となっている費用を挙げてもらったところ、最も高かったのは授業料の29.0%で、前回アンケートより12.5ポイント上昇した。

 これらの結果を踏まえ、セーブ・ザ・チルドレンでは中学校、高校における私費負担の軽減のための取り組みの充実、高校入学前の準備金の創設などを提言している。

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