メンタル不調を未然に防ぐ 教職員用のLINE相談窓口を開設、都

メンタル不調を未然に防ぐ 教職員用のLINE相談窓口を開設、都
相談窓口の開設が報告された都教委の定例会
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 教職員が気軽に業務上の悩みを相談できる窓口を設け、メンタルヘルスの不調を未然に防ごうと、東京都教育委員会は12月から、教職員用の相談窓口「先生たちのほっとLINE」を開設する。10月26日に開かれた第17回定例会で報告された。相談窓口はLINEを通じて、教職員が匿名で相談できるもので、委員からは「これまで相談出来なかった人も相談しやすくなるのではないか」と期待の声が上がった。

 都教委では2022年度に臨床心理士などの相談員が学校を訪問して面談する「教職員アウトリーチ型相談事業」をスタートさせた。今年度は希望した小中学校に所属する全教職員と、小学校の全新規採用教員などを対象とし、1人当たり年に1~2回実施している。面談を受けた教職員からは「心の負担が軽減された」「自ら相談窓口に行く必要がなく、ありがたかった」などの声が寄せられた一方、多くの教職員が業務の多忙感や人間関係、学習指導上の悩みや保護者との関係など、多様な悩みや不安を抱えていることが分かった。

 さらに、昨年度実施した都立学校教員勤務実態調査においても、「児童生徒の悩みや相談に対応する時間が十分にとれない」「授業準備の時間が十分にとれない」と悩んでいる教員は約8割、「同僚や先輩に気軽に相談しづらい」と感じている教員も約4割いたことが分かった。

 こうした状況を踏まえ、教職員の抱える業務上のさまざまな悩みについて、日常的に気軽に相談できる窓口が必要だと考え、LINEを通じて教職員が匿名で相談できる『先生たちのほっとLINE』を新設することとした。

 都教委の担当者は「例えば、先輩教員がとても忙しそうで相談しづらい、初めての保護者会に向けて緊張している、もう少し効率的に仕事をするにはどうしたらいいのか、などといった日頃のちょっとした悩みや不安を、まずはLINEで相談してほしい。そうすることで、業務へのモチベーションを維持したり、メンタル不調を未然に防止したりすることにつなげられたら」と話した。

 LINE相談には臨床心理士らが対応する。この窓口で対応が難しい深刻な悩みや専門的な相談については、必要に応じて専門の相談窓口を紹介する。実施期間は12月1日から来年3月30日まで、期間中の月曜日から土曜日の午後3時から同9時まで受け付けている。来年度以降については、検討中という。

 委員からは「この相談窓口に寄せられた悩みをきちんと分析し、共通したものがあれば積極的に現場に共有し、より多くの改善につながるようにできればいい」「悩みや不安を相談したくても、先輩や管理職に知られてしまうのではないかと不安に思う人も多い。そういう意味でも、今回の匿名で相談できるというのは大きい。これまで相談しづらかった人も一歩を踏み出しやすい」と評価する声が上がっていた。

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