11月2日に閣議決定した政府の総合経済対策では、こどもの貧困対策で経済的に厳しい家庭に対してこどもの受験料などを支援するといった施策も打ち出された。保育人材の確保のため、地方自治体が実施している保育士志望の学生に対する学費貸付の支援も行う。年末にまとまるこども未来戦略で盛り込まれた施策の一部も取り入れられ、今年度の補正予算案にも反映される。
閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて」では、「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する」を柱の一つに位置付け、約1.6兆円を充てる。
少子化対策・子育て支援などに関しては、こども未来戦略方針に基づくこども・子育て支援をスピード感を持って実行することとし、2024年10月の施行を予定している児童手当の本格拡充について、児童手当の支払月を年3回から隔月の年6回とする法改正を行い、拡充後の初回支給を25年2月から24年12月に前倒しするほか、こどもの貧困問題の解消のため、ひとり親家庭などに対する学習支援を拡充し、受験料などの支援を行うことで、こどもの進学に向けたチャレンジを後押しする。
また、就労要件を問わずどの子育て家庭も時間単位で利用できる「こども誰でも通園制度」の本格実施を見据えたモデル事業について、今年度中に始めることも可能なように支援をする。
こどもに関わる人材育成も強化する。24年4月から設置が努力義務となるこども家庭センターにおける職員の配置や専門人材の活用を支援。こどもの居場所づくりを推進するため、地方自治体による「こどもの居場所づくりコーディネーター」の採用・育成や、保育人材の確保のため、地方自治体が実施している保育士志望の学生への学費貸付の支援も行う。
この他にも、児童養護施設を退所した人の自立を支援するため、家賃相当額の貸付を行うことや、教育・福祉などの分野を超えたデータを連携させ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげる「こどもデータ連携」の実証事業を通じて、地方自治体が参照できるガイドラインを早期に策定すること、保育士の業務負担軽減に向けて、保育所の登園管理や保護者との連絡に関する業務システムの導入支援なども盛り込んだ。