11月5日に行われた第103回全国高校ラグビーフットボール大会福井県予選で、県立若狭東高校と同敦賀工業高校の合同チームが初優勝を飾った。高体連は昨年に、ラグビーを含む一部競技で、部員不足などで複数の学校で構成された合同チームの出場を認める方針を出しており、ラグビーでは、この部員不足を理由にした合同チームの本大会出場は初めてとなる。
福井県内には県立若狭高校と、今回合同チームを組んだ若狭東高校、敦賀工業高校の3校にしかラグビー部がない。敦賀工業高校は昨年に一度部員が0人になってしまったが、藤原幹治監督が当時どこの部活動にも入っていなかった浜野悠人さんを誘い、活動を再開。春季大会でも若狭東高校との合同チームで出場を果たしていた。
その後、敦賀工業高校は部員が増えたものの、部員数は3人しかいなかったため、合同チームを組める「部員数が14人以下」という基準に当てはまっていたが、若狭東高校は20人以上の部員がいたため、本来であれば合同チームを組めない。しかし、それでは敦賀工業高校と組めるチームがなく、選手がプレーできる場がなくなってしまうとして、高体連などに福井県内の高校ラグビーの現状やこれまでの合同チームでの実績などを説明する資料を提出し、特例的に合同チームの編成が認められることになった。
週末を中心に合同練習が行われたが、試合が近づくにつれて平日の放課後も練習をすることになった。両校は車で移動しても30分はかかるため、練習時間は限られている。敦賀工業高校のラグビー部が若狭東高校のグラウンドに行くことが多かったが、若狭東高校の方が授業の終わる時刻が早いことや、ラグビー部のアピールにもなるということで、敦賀工業高校のグラウンドで練習が行われた日もあったという。
そして迎えた若狭高校との決勝戦は22対10で勝利し、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で年末年始に行われる本選への切符を手に入れた。
「浜野くんがラグビー部の火を消さないでくれた」と藤原監督。「合同チームで練習するようになって、浜野くんたちもラグビーの激しさや厳しさに気付かされているようだった。これまでの数倍、技術も精神力も人間性も成長した。若狭東高校の選手たちが、一緒にやりたいという環境をつくってくれたことに感謝したい」と話す。