学校でICT機器をほぼ毎日使っている小中高生は3割を超え、児童生徒の8割程度がICT機器を使う授業に肯定的であることが11月8日、ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の共同研究プロジェクトである「子どものICT利用に関する調査2023」で分かった。教員からICT利用に関する指導を受けている児童生徒ほど、こうしたICT機器を利用する効果を実感している傾向にあった。
GIGAスクール構想の実現による学校でのICT環境の劇的な変化を踏まえて行われたこの調査は、ベネッセ教育総合研究所が実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」のモニターである小学4年生から高校3年生までの児童生徒を対象に、今年2~3月に実施。9182人がインターネットから回答した。
学校で学習目的でICT機器を使う頻度を尋ねたところ、週5日と答えたのは、小学4~6年生で32.6%、中学生で30.5%、高校生で30.2%と、いずれの年代でも3割を超えた。家庭への持ち帰りは全体で「週5日」が38.2%なのに対し、「まったく持ち帰らない」も30.5%を占めるなど、二分されていた。
「ICT機器を使う授業は楽しい」に対し、「とてもそう」「まあそう」と答えた割合の合計は、小学4~6年生で86.4%、中学生で76.8%、高校生で69.5%で、年代が上がると下がっていた。この割合は成績による差はないものの、利用頻度が高いほど楽しいと答える傾向がみられ、特に中高生でそれが顕著だった。
ICT機器の利用方法について、「よくする」「ときどきする」の合計の割合を項目別にみると、いずれの年代でも多いのは「調べ学習」で、全体では87.1%に達した。「考えをまとめて発表」などの協働学習も6割を超えた。「練習問題を解く」は小学4~6年生に、「暗記する」は高校生に多いなどの特徴もみられた。
ICT機器を利用する効果として、「学習内容について調べやすい」「学習内容がわかりやすい」「効果的に学習できる」「グループでの学習がしやすい」に対しては、全体で7割超が「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答していた。こうした効果は、教員からICT機器の使い方や情報の集め方・調べ方、ルール・マナーといった指導を受けているほど強く感じる傾向にあることも確認された。
一方で、「目が疲れる」「インターネットにつながらなくて困ることがある」「ICT機器を壊してしまわないか不安」に対して「とてもそう思う」「まあそう思う」と答えている児童生徒も全体で半数を超えていた。また、「使い方がわからない」や「文字入力が面倒」といった項目については、利用が比較的低頻度の児童生徒ほどそう感じていた。