持久走も個別最適化へ――。東京都三鷹市立第五小学校(中島亮子校長、児童574人)で11月10日、心拍センサーを活用した体育の持久走の公開授業が行われた。5年生の児童が心拍センサーを身に付けて5分間走を繰り返し、グラフ化された心拍数の推移を確認しながら自分に合ったペースを見つけていった。
授業はスポーツ用のウェアラブルデバイスを開発するポラール・エレクトロ・ジャパンが協力し、同社の心拍センサーである「Polar Verity Sense」と複数のユーザーの心拍数を同時に表示できる「Polar GoFit」を活用。児童は上腕に心拍センサーを装着し、基礎持久力を高め、有酸素運動に最適とされる最大心拍数の60~79%の心拍数をキープすることを目標に、体育館の中を往復する5分間走を1人当たり3回実施した。
5分間走を終えると、児童は自分の心拍数の変化を示したグラフをタブレット端末で撮影し、ペアになって振り返りを行い、次の5分間走に臨んだ。ある児童は「上半身をあまり動かさないようにして走ると心拍数が上がりにくい」と、楽に走り続けるフォームについて考察していた。
授業者の岸名祐治主任教諭は「今日は公開授業だったこともあり、緊張して最初から心拍数が上がっている子もいて、環境によって心拍数も変わるというのは自分自身にとっても発見だった。心拍数をきっかけに自分の体の状況を知ったり、安定した走り方を学んだりすることにつながれば」と話す。
また、授業の指導・講評を行った鈴木直樹東京学芸大学准教授は「持久走では、とにかく頑張って走った方が体力が付くと教師は思いがちだ。今日の子どもたちもゆっくり走っていたように感じたかもしれない。しかし、それくらいのペースでも有酸素運動として効果がある。その効果を効果として感じられない大人の側のマインドセットを変えていかないといけない」と、心拍数の活用によって持久走をはじめとする体育の指導が変わる可能性を指摘した。