米国の教育関係者と首長らが座談会 学習データ保護など巡り

米国の教育関係者と首長らが座談会 学習データ保護など巡り
出席者らを前に講演するオズバーン氏=撮影:秦さわみ
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 「Society5.0時代の学習データとセキュリティーの在り方」をテーマに、ICT教育の先進自治体の首長でつくる全国ICT教育首長協議会と、米国の教育関係者との座談会が、11月10日に東京都港区の日本マイクロソフト本社で開かれた。米国からは、米国マイクロソフト社のエデュケーションCTOのセリーナ・サックス-マンデル氏、ジョージア州教育省最高情報責任者兼副監督官のキース・オズバーン氏が参加し、自治体の首長や教育長、教育委員会関係者らと活発な意見交換を行った。

 講演に立ったサックス-マンデル氏は、未来の教育の在り方に言及。「子供たちには生涯にわたる学習者であってほしい。そのためには講義や試験、成績といった形だけでなく、自主的・協力的な学びを考える必要がある」と指摘。今後の学びの在り方の例として、児童生徒がそれぞれ教師との「契約」のような形で学習課題を設定し、教師の支援を得ながら、個人や集団で学びを進めていくなどのアイデアを語った。

 また、教育現場でもにわかに関心が高まっている生成AIについて「世界中の教育現場で使われている」と語り、生徒自身が答えを導く支援をする「家庭教師」のような使い方や、ヘルプデスクのチャットボットとしての使い方のほか、授業計画や小テストを作る際の支援、業務の効率化などに使う例を紹介した。

 次いでオズバーン氏は、ジョージア州での学習データセキュリティーの在り方について講演。「子供たちが作り出す膨大なデータは、世界中の悪意ある者の標的となっている。サイバーセキュリティーはテクノロジーではなく、社会の問題だ」として、教育行政のトップなどに対するサイバーセキュリティー対策の必要性を強調した。

 合わせて、近年の個人情報流出の半数超が、サードパーティー制のアプリを経由したものであったことを紹介。「アプリのベンダーがどのように学習データを収集し、利用しているかを検証することで、情報流出のリスクを大幅に減らせる」と話した。

 全国ICT教育首長協議会の横尾俊彦会長(佐賀県多久市長)は「これからは子供たちがイノベーター、クリエーターとなり、新しい世代を担っていく。教育に携わる先生たちの仕事はものすごく大事だ。新しいことをするのはいやだと言っている場合ではなく、意識改革を進めてほしい」と締めくくった。

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